カテゴリー「コンピュータ」の15件の記事

2013年5月 5日 (日)

FLAC/MP3/DSD 管理・再生ソフト: TuneBrowser

TuneBrowser

先日、まだベータ版ながら TuneBrowser というソフトをリリースさせていただいた。どういうソフトか、というのは、専用のページを作ったのでそちらを参照いただくとして、きちんとしたソフトを開発・公開するのはひさしぶりなので、経緯について、すこしだけ。

以前、ご要望をいただいてfoo_NowPlaying.gadgetというWindows用ガジェットを公開した(国内外からたくさんダウンロードいただいた――多謝)。これはスクリプト主体の比較的「気軽なツール」だったし、それにしてももう3年以上まえのことだ。個人用の小さなツールはいまもなにかと作ってはいるが、今回のTuneBrowser のような「ちゃんとした」アプリケーションは、ほんとうにひさしぶりのことになる。


過去このブログで紹介してきたように、これまでは楽曲の管理・再生ソフトとしてfoobar2000を使っていた。

foobar2000は、開発に携わる者としていまもひとつの目標でありつづける大変素晴らしいソフトだが、ユーザとしては、いつしかプラグインとTitleFormatに疲れるようになっていた。とくに、前回までの記事に書いたようなタグのデータ管理をするためには、長大なTitleFormatを駆使し、それでも足りないところは自分用のfoobar2000プラグインを作成して補っていた。

そのうち、面倒な設定なしで、自分の思うような管理ができるソフトを作ればいいのではないか――そう思うようになった。もちろん、自分で作るとはいってもそれは大変だから、foobar2000以外のソフトも試してみたが、残念ながらこれはと思うものには出会えなかった。

いまから――というのは2010年ごろのことだが――あたらしく作るのであれば、近年のPCのパワーを生かし、できるだけ「棚をながめてCDを選ぶ」ような操作性が実現できたらいい――そう思って開発をはじめた。実際できあがったTuneBrowserはそうなってないじゃないか、というお叱りもあろうかと思うが、ここ2年ほど、ほんとうにざまざまなユーザ・インタフェース、描画方式を試してきて、現在のかたちに落ち着くようになった。まあ、正直なところ「棚をながめてCDを選ぶ」というところには追いつけていないような気は薄々するけれど(笑)。

なおこれは開発手法の話だが、TuneBrowserは、はじめはWTL+Direct2Dで作成していたが、途中で最近のMFCの進化に驚き、MFC+Direct2Dによる開発に切り替えることになった。

というわけで、もともとはTuneBrowserは楽曲管理専門のソフトウェアでスタートしたのだった。当然、選んだ楽曲は聴いてみたくなる。そのために、はじめはTuneBrowserから外部のMPDあるいはfoobar2000を制御できるようにした。

しかしそれでは、どうしても再生に関して細かい制御をすることがむずかしい。そこでBASS Audio libraryを利用して、自前の再生機構をTuneBrowserに組み込んだ。BASSはシェアウェアにする際にライセンス料が発生するが、そう高いものでもない。これはこれで完成した。と思った。

ところが、最近になってPCでのDSDネイティブ再生が手の届くところにやってきた。これは革命的だ、と感激したが、BASSがDSDをサポートする気配はなさそうだった。BASSと心中する (BASSの対応を待つ) か独自の道を歩むか、悩みに悩んで本当に悩んで、結局デコードと再生の機構をすべて自前で作り直すことにした。

すべてとは言っても、もちろんFLACやTTAなどの各音源フォーマットが提供しているデコーダのソースコードは活用させてもらっている。またDSDIFFのDST圧縮のデコードは、ISO の Philips によるリファレンス実装を入手し、内在している不具合を何日もかけて直したうえで使ってみたが、これが性能的にリアルタイムのデコードにはまったく追従できないものだった。結局DSTデコードは Super Audio CD Decoder project がLGPLで公開している改良版を活用させてもらった。DSTデコード以外の部分はすべて自前の処理ではあるけれど, ぼくの数学の能力を考えると, このDSTデコーダがなかったとしたら, DSDIFF形式/DST圧縮のDSDのネイティブ再生は実現できなかったと思う。このプロジェクトの成果は本当に素晴らしい。

ぼくは音楽再生プログラミングの方法論に詳しいわけではない。ただ仕事がら、C++ によるミッションクリティカルなバックエンドの24時間稼働のサーバシステム (≒デーモン/サービス) をたくさん開発してきた経験はある。だから、TuneBrowser のオリジナルの再生エンジンの開発は (心の奥底では(^^;) 勝算のあるチャレンジに思えた。そしてその経験から、デコード+再生の処理・スレッド構成はできるだけシンプルでロバストな構造になるようにして、読み込んだデータを ”クリーン” に保ったまま最小のCPU時間でデバイスへ渡す、ということを心がけた。結果は、ユーザになっていただいた方の耳でご判断いただければ、と思う。

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ちなみに、世の中にはTunesBrowserというソフトがすでに存在している。あちらはLinux用であり、別のソフトだ。まぎらわしいので(^^;名前を変えようかとも思ったが、かといって良い名前も思いつかないので、このままリリースすることにした。

TuneBrowserは、foobar2000の表示や再生に関するカスタマイズが億劫な方、TEACやLuxmanが出しているメーカ製のDSD対応再生ソフトウェアでは楽曲管理機能が物足りないと感じられる方、iTunesではクラシック音楽などで管理できる情報が不足しているとお感じの方、そして、ソフトウェアの再生エンジンによる音質の差に興味のある方は、一度お試しいただければ、と思う。ちょっとドキドキしながら(笑)ダウンロードお待ちしています。

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2013年2月24日 (日)

クラシック音楽と PCオーディオと タグ データ (その2)

TB2

前回、大量――数千,数万ファイル――の音源データのなかから「自分が聴きたそうな音楽」を探し出すのは意外と難しく、アルバム(CD)の単位にこだわるのをやめて、各楽曲のタグを整理し、そのタグをもとに音源を検索できるようにしないと、もう無理。という話をした。

そのタグも、一般的なARTISTとかTITLEだけではまにあわず、いくつかのタグを自分で「これを使う」と決めて、すこし広げて使っている。そのタグの話。


大切なタグ

前回書いた、自分にとって大切になってきたタグは、以下のようなものだった ([] 内の英語は、FLACでのタグ(メタデータ)の名称)。

  • 検索するときに大切なタグ (ほぼ必須)
    • 作曲家 [COMPOSER]
    • 演奏家 [PERFORMER]
    • アルバム名 [ALBUM]
    • 楽曲名 [CONTENT GROUP]
      (...決して [TITLE]ではない)
    • ジャンル [GENRE]
      (...これも複数必要! )
  • 楽曲を管理するときに大切なタグ (あれば良い)
    検索に使用するタグに加えて、
    • レーベル [ORGANIZATION]
    • 録音日 [DATE]
    • リリース日 [RELEASETIME]
    • 入手した日 [PURCHASEDATE]/[ENCODINGTIME]等々...
    • 版 [EDITION]
    • 作品番号 [OPUS]
      (たまに、ある作曲家について作品番号順に並べたくなる(笑))

楽曲名(CONTENT GROUP)は、TITLEとはちがう、と書いた。TITLEとは、 CD上のひとつのトラック/PC上のひとつのファイルにつく、題名のことである。前回の例での『展覧会の絵』の場合、最初の3トラックのTITLEは以下のようになっている。

  1. 組曲 ≪展覧会の絵≫: 1. プロムナード
  2. 組曲 ≪展覧会の絵≫: 2. グノーム
  3. 組曲 ≪展覧会の絵≫: 3. プロムナード

この場合、聴きたい/探したいのは『組曲 ≪展覧会の絵≫: 1. プロムナード』ではなくて、あくまでも『組曲 ≪展覧会の絵≫』という楽曲である。チェリビダッケの録音を一覧したとき、知りたいのは『組曲 ≪展覧会の絵≫』があるかどうかであり、全部で15トラックある個々のTITLEについて知りたいわけではない。

それで、CONTENT GROUP を使うようになった。これはMP3などのID3v2ではTIT1に相当する(TITLEはID3v2ではTIT2)。実際には、いちいち入力するのは面倒なので、TITLEを解析して区切り文字からCONTENT GROUPを自動抽出するツールを援用している (だから、もちろんTITLETITLEで、きちんとそのトラックの名称をフルスペックで入力している)。

あとは、GENREへの複数値の設定。これは最初はあまりこだわっていなかったのだが、いまは絶対必須だと思っている。ひとつの楽曲は、さまざまな側面を持っている。たとえば『展覧会の絵』の場合は、"Classical" であり "Orchestral" であり "Russian" である(ロシア音楽とフランス音楽は、ぼくのなかで独立したジャンルとして確立している(笑))。気分によって、さまざまな切り口で一覧したくなる。

日付も、DATEというタグだけでは限界を感じている。ぼくの場合は、これを録音日であると勝手に決めて、アルバムのリリース日や入手した日は別のタグをつけて管理するようになった。こうすることで、最近購入したアルバム順――新着順――で並べたりすることができる。とくに、日々増えつづけるCDを忘れないように(爆)するためには、新着順は、なくてはならないものになった。

あらかじめついていたタグデータは捨てて、自分のタグデータを登録する

これは、原本大切主義のぼくとしては、すこし勇気がいった(笑)。

実際は、CDをリッピングした場合とダウンロードした場合とで、多少態度がちがう。CDをリッピングした場合は、原本はCDにあるので、ハードディスク上のファイルのタグデータという面でのオリジナリティは、あまり気にしない。ハードディスクが吹っ飛んだときに、すべてリッピングし直すのは面倒なので、一般的な意味でのバックアップをとっているだけだ。ダウンロード音源の場合は、いつダウンロードできなくなるかわからないので、いちおう原本は別にマスターデータとしてとっておく。過去ダウンロードサービスで購入して(たいていはDRMつきだった)、もう二度と聴けなくなった音源もたくさんあって、苦い思いをしたことがあるからだ(それはいまの電子書籍にもおなじことが言える)。そしてふだん使うファイルは、CDからリッピングした場合と同様に扱う。

で、こうした音源ファイルには、リッピングソフトや販売元の好意で、あらかじめタグデータが付与されることが多い。これを、とても大切な原本データだと思い込んでしまう。しかしそれは誤解である(きっぱり)

おなじ『展覧会の絵』に対して、もとのCDによって、 "Tableaux d'une exposition" であったり "Pictures at an Exhibition" であったり "展覧会の絵" であったり、"組曲 ≪展覧会の絵≫" であったり――元のデータを作成した人物・団体の国籍・方針・気分によって言語・表記の揺れはさまざまだが、結局はおなじ曲を表現しているのである。ここは勇気をもって、自分で決めた表記に「上書き」して統一してしまう。"Pictures at an Exhibition" を "組曲 ≪展覧会の絵≫" に変えたからといって、その曲のタイトルが変わるわけでも、別の曲を示すことになるわけでもない。チェリビダッケが演奏してもヤンソンスが演奏しても、再発されてもリマスターされても、EMIから出てもブリリアントから出ても、『展覧会の絵』は『展覧会の絵』である。

『展覧会の絵』の場合は、原典となるピアノ版とオーケストラ版、 さらにオーケストラ版のなかでも編曲者によるちがい、という話がある。これらはぼくの場合は版(EDITION)で管理するようにしている。 Emerson, Lake & Palmer の演奏は、いまのところはまったく別の曲扱いにしている(笑)。

ちなみに、ぼく自身は、楽曲の名前については以前は英語・ドイツ語が混在していたところを、家族も使うことを考えて、あるときすべて日本語に統一した。それは最初はちょっと大変だったけれど、クラシック音楽の場合、演奏はたくさんあったとしても、曲はおなじというケースが多いので、入力済みのデータを参照して編集できる環境があれば、編集はどんどん楽になっていった。いまでは――幸か不幸か――クラシックでまったく新しい曲に出会うというケースはあまりないので、たいていは過去に入れたデータを貼りつけるだけで済んでいる。

人名

あと、個人的にひとふんばりしたのは、作曲者・演奏者名である。こうした人名は、姓だけであったり、名-姓であったり、姓-名であったり、もとのデータや言語によってまちまちだった。いろいろ考えて、これを基本的には “姓, 名” として統一した。たまたま日本語で一般的な並び順になるが、これはべつに日本語を意識したことではない。

ある人物を特定するのに、もっとも大切な情報は姓であり、名は姓が重複した場合(スカルラッティ親子とか(^^;)以外は、あまり必要がない。演奏者や作曲者を一覧で表示する場合も、並び順は姓で並べたほうがわかりやすい。つまり “姓, 名” で登録しておけば、そのまま並べればいいので簡単だ。また姓だけを取り出す際も、文字列の先頭からカンマまで取り出せばいいので、比較的簡単な処理で対応できる。並び順を決めておけば、これをあとで “名 姓” にするのも、 ”イニシャル. 姓” にすることもできる。実際、一時期はfoobar2000用のプラグインを作成して、そういう表示ができるようにしていたこともある(いまは自作ソフトにそういう機能を組み込んでいる)。

人名や団体名を統一することで、アバドの演奏は、とか、シカゴ交響楽団の演奏は、というように簡単に引き出せるようになった。

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こまかい話も含め、いろいろと書いた。PCでオーディオする魅力は、高音質とか簡便とかいろいろ言われているが、個人的には、大量の音源をデータベース化し、自分の連想や興味の赴くままに、ジャンルを問わずさまざまな音楽を引き出せる、という点の魅力もきわめて大きいと感じている。

いっぽう、実際に何百枚か千枚かのCDをリッピングしようにも、そのタグづけや整理で挫折しそう、という話も聞く。オーディオとしてのPCはこんなに魅力的な道具なのに――それはとても残念な話だ。音楽という感性直結の情報の整理方法なんて、個人の嗜好や目的・価値観に左右される部分が大きく、すべてその通りというわけにはいかないだろうが、ここに書いたことがなにかの参考になれば、と思う。

 

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2013年2月23日 (土)

クラシック音楽と PCオーディオと タグ データ (その1)

TagEditむかし、楽曲(CD)を管理するデータベース・アプリケーションを作成したことがある。そのソフトはさまざまな課題を残したので結局は公開できずに終わったが、そこでは、きちんと正規化したデータベース・テーブル群を用意して、アルバムや作曲家、演奏者を手入力して管理するようにしていた。むかしの話である。

時代は変わって、楽曲に関する情報は、データベースで集中管理するのではなく、PC上の楽曲ファイル自身に、タグデータ (メタデータともいう) として持たせるようになった。そうして、自然にその “きちんとした” データベース・ソフトの出番はなくなり、楽曲のタグデータを参照するようになった。


さらに、これまでの数年で、このタグデータは、ぼくのなかでは「ちょっとした付加情報」から「きわめて大切なデータ」に変わった。

そのきっかけは、foobar2000がMedia Libraryで強力で高速な分類機能を提供してくれるようになったこと、おなじく強力な編集機能によって、複数の楽曲に対して統一的な値を設定しやすくなったこと、が大きかった。つまり、タグデータを用いて楽曲を集中管理できるようになったのだ。foobar2000だけでは不足している機能については、自分でもいくつかのツールを作成もした。また、これはfoobar2000が契機になっているかどうかはわからないのだが、趨勢としてひとつのタグに複数の値を設定できるようになったことも重要なポイントとなった。

そして、時をおなじくして大量の楽曲をPCに置いた結果、ディスク上のフォルダ分類だけではなかなか直感的には「目的の音楽」が見つけられなくなるに至って、 本格的にデータを整理しようと思い立った。

問題は、クラシック音楽である。一部のジャズやロックでもおなじような課題を抱えることがあるが、クラシック音楽には特有の課題がある。 たとえば、

  • ひとつの楽曲が、複数のトラックに分かれている(楽章別とか)
  • ひとつの演奏には作曲者と演奏者という、役割のちがう重要なキーパーソンがいる
  • さらにひとつの楽曲・ひとつの演奏(=ひとつのファイル)を特定できたとしても、そこは複数の演奏者が関わっている(指揮者、オーケストラ、独唱者...)
  • 楽曲名だけでは演奏/アルバムは特定できない(たとえばムソルグスキーの 『展覧会の絵』には、たくさんの演奏者による何枚ものアルバムがある)

こうした特性から、大量の音源を管理しようとしたら、旧来のアルバム(CD)という単位だけでの管理ではなくて、そもそもの考え方の見直しと、タグ データでの管理がどうしても必要になってきた。

アルバム(CD)という単位は希薄で良い

そう考えるに至った(笑)。

もちろんアルバム(CD)という単位は管理するには便利なまとまりであり、どうでも良いわけではない。とくに、ある目的でもって特集されたアルバム、たとえば演奏家や作曲家をキーとして集めた小品集とか、ライヴのように、制作者が一連の流れを意識して曲順が組んだアルバムなどは、アルバム単位で聴くことに意味がある。また、アルバムのジャケットは、後々までその演奏を認識する上で重要なアイコンとなる。ハードディスク上のフォルダ構成も、アルバム単位が容量として大きすぎず小さすぎず、やはり便利である。

しかし、最近のボックス・セットなどの場合、CD 1枚の容量に応じて1曲が分断されていたり、つづけて聴くことにあまり意味がなさそうな曲がつめこまれていたりする(それはそれで嬉しいのだが)。

そのときに大切なのは、CDというメディアの『チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル フランス・ロシア音楽集 Disc 3』という情報ではなくて、「チェリビダッケとミュンヘン・フィルによるムソルグスキーの『展覧会の絵』を聴こう」と思う、ということだ。

その演奏が収録されたパッケージは、時代が変わり、リリース形態が変わると、アルバムという単位もまた簡単に変わってしまう。大切なのは、そこに収録されている演奏そのものである。

演奏を引き出す情報が大切

そうすると、ある演奏を引き出すためには、CD棚を順番に見ていくのとはちがい(それはそれで楽しいプロセスだが)、作曲者、演奏者、楽曲名、ジャンル、年代、そういった情報がきちんとタグづけされて、このタグ情報をもとに探せることが重要になる。とくに、演奏者のタグ(PERFORMER)には、複数の名前を登録できる必要がある。

たとえば、上の『展覧会の絵』の場合、聴きたくなる動機は、ムソルグスキーの『展覧会の絵』そのものを聴きたい場合もあれば、そうではなくて、チェリビダッケの指揮するなにかを聴きたい場合もある。その両方が大切な場合もある。あるいはたまたまミュンヘン・フィルのことを調べていて、ミュンヘン・フィルの演奏を聴きたくなる場合もある。

ここ数年使いつづけてきて、大切だと思う情報はだいたい決まってきた (以下、[] 内の英語は、FLACでのタグ(メタデータ)の名称)。

  • 検索するときに大切なタグ (ほぼ必須)
    • 作曲家 [COMPOSER]
    • 演奏家 [PERFORMER]
    • アルバム名 [ALBUM]
    • 楽曲名 [CONTENT GROUP]
      (...決して [TITLE]ではない)
    • ジャンル [GENRE]
      (...これも複数必要! )
  • 楽曲を管理するときに大切なタグ (あれば良い)
    検索に使用するタグに加えて、
    • レーベル [ORGANIZATION]
    • 録音日 [DATE]
    • リリース日 [RELEASETIME]
    • 入手した日 [PURCHASEDATE]/[ENCODINGTIME]等々...
    • 版 [EDITION]
    • 作品番号 [OPUS]
      (たまに、ある作曲家について作品番号順に並べたくなる(笑))

「その2」で、もうすこし詳しい話をしようと思うが、こうして自分で使用するタグとその意味を決めておくことがポイントになると思う。もっとも、一度決めた使い方も、さまざまな楽曲のデータを整理していくにつれて例外に出くわして、揺らいでしまうこともままあるのだが。

 

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2013年2月10日 (日)

TEACの DSD 再生可能な DAC, UD-501

UD501ひさしぶりにオーディオ機器に変化があった。 TEACのDAC (DAコンバータ)、 UD-501を購入したのだ。

これまで使用していたDACは、以前ご報告したとおり、英国CHORDのDAC64 mk2。気がつけば、導入からずいぶんと時間が経った。このDAC64は当初から192kHzのサンプルレートに対応しているなど、いまでも充分に通用するスペックを誇っているから、あまり古くなった気がしない。音も全面的に気に入っている。

なのに、新しいDACを導入した理由はふたつ――ひとつは、使い勝手をもうすこし改善したいと思っていたこと。そしてもうひとつは、最近流行りだした、ハードウェアでのDSD再生を試してみたかったのだ。


「使い勝手」の部分というのは、これも以前にも書いた、たとえばサンプルレートが切り替わったときのDAC64のポップノイズ。自作のPC再生環境では、周波数が切り替わったときに自動的にアンプをミュートする、などの工夫はしていたのだが、やはりそれも無理矢理感は否めない。

そしてDSD。ここ1,2年のDSDの思いがけない勃興は、本当に目覚ましい。ぼくもご多分に漏れず、この1年のあいだにDSDを88.2kHzのPCMに変換する形の再生環境を整えていた。音源の価格、容量、あるいは使い勝手の面で、今後DSDがメインストリームになっていくとは思えない部分もあるが、せっかく素晴らしいフォーマットなのだから、これを楽しまない手はない。

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選んだのはTEACのUD-501だった。決め手は、2基のトロイダルトランスによる「しっかりとした電源」と「頑丈な筐体」であるということ。Goldmundの例を見るまでもなくオーディオ機器の真髄は、電源と制振――と外観――に決まっている(笑)。そして、日本メーカ製であること。価格。

日本メーカ製である点は、CHORDでの不満だった使い勝手の面での不満解消を期待してのことだった。それはおおむね期待どおりだった。DSDの再生時には、PCMからの切り替えかどうかに関係なく、ごく小さく「プツ」というノイズが聞こえる。気にしていれば聞こえるが、気にしていなければ聞こえない、という程度の小さなノイズだ。念のためTEACに問い合わせてみたところ、TEACでもその現象は確認しており、その上で「これがもう限界」とのことだった。それはそれで納得した。PCMでサンプルレートを変更しても、DSDに変更しても、さらにPCMに変更したとしても、その極小さな「プツ」以外は不快な音を出すこともなく、まったく安定している (再生はすべて、foobar2000と自作ソフトでASIO 2.1を使用)。これは立派なことだ。さすがである。

価格は…この時期に、デジタル機器、とくにDACを購入するというのは、むずかしい決断だ。これからしばらくは、時間がたつにつれ、より魅力的な製品、すぐれた性能の機器が登場してくるに違いない。実際、購入にあたっては、たとえば MYTEK DIGITAL のStereo192-DSD DACや、購入当時はまだ発売されていなかったもののLuxmanのDA-06、あるいはCHORDの製品群など、あれこれと悩んだ。もちろんそこには、本来DACの心臓部と言える、DACチップの構成もかかわってくる。結局このUD-501を選んだのは、上に書いたように、オーディオの基本と思っている電源と筐体がしっかりしていること、そしてなによりも、それほど深刻にならなくても買える――すくなくともスピーカーのB&W 802Dなどに比べれば――価格だったということも大きい。

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じつはUD-501は、昨年の11月2日にはもうぼくのところに届いていた。11月上旬発売と言われていたから、いわゆる初期ロットなのだと思う。

A4サイズのそこそこ扱いやすい大きさと、デジタル機器としては異例のずっしりとした重量。太いケーブルを使っても、ケーブル負けすることがない(笑)。デザインは…「すばらしい」とは言わないが、悪くはない。パネルの質感は、カタログ写真よりも実物のほうが良い。ツマミも見た目はまずまず、ただし実際にさわってみた感触は、いかにも中空です、という軽さが感じられるのは残念。価格から考えると、これは致し方のないところなのだろう。電源のトグルスイッチは意外と感触が良くて気に入った。両サイドのパネルはアルミ製で、制振にひと役買っているのだと思うが、まるでラックマウント機器のパロディのように、ハンドルが前面に飛び出ているのは、どうも理解に苦しむ。

動作は、すでに書いたように、きわめて安定している。前面に有機ELディスプレイがあるので、どのモードで動作しているかひと目でわかる。本体やPCの設定をいじっていて、うっかりちがうモードで動作していた、なんていうこともない。PCMもDSDも簡単にフィルタの特性を変更することができ、さらにPCMはアップサンプリングも行える。遊べる要素には事欠かない。

Thumbnail-Abbado-Mozart肝心の音質は――繊細で透明感のある、高解像度の美しい音である。定位も明快だ。アバドが若いモーツァルト管弦楽団と演奏した、モーツァルトの交響曲集などを再生すると、その鮮明な音にハッとする。

使いはじめてしばらくは、詰まったような感じがしたものの、鳴らしつづけたことで、すっきりと抜けて感じられるようになった。また、最初は「詰まった感じ」を払拭したくてPCMをアップサンプリングして聴いていたが、いまは、すこし尖った感じを出したくて、アップサンプリングなしに設定している。

UD-501の音色は、DAC64で気に入っていた骨太で弾力感のある音色――一部ではそれは時代遅れとも言われている――とはちがうものだ。今回のUD-501の購入で、ひょっとしたらDAC64は引退かとも思っていたが、この音色が捨てられず、いまも現役でUD-501のとなりにいる。だが結局、ふだんはUD-501ばかり聴いている。休日の昼間、大音量で鳴らしても、2基のトロイダルトランスのおかげか音はがっしりとしており、低域には芯が感じられる。世界観のちがうDAC64と比較をしなければ、UD-501はほぼ不満のない音だ。これで実売8万円~9万円というのは、お買い得だと思う。

そしてDSDは、世間で言われている通り、PCMに比べると、音はよりしなやかになる。余韻やホールトーンがふわっと感じられるようになり、それは奥行き感にもつながる。もちろん解像度は落ちない。とても気持ちが良い。

残念ながら、去年の10月から、著作権法の改正によってSACDからのリッピングは、たとえそれが私的なものであったとしても、非常に厳しいものになってしまった。こうなると、こうしたPC+DACで高音質の音楽を楽しむための頼りは、もはやSACDというパッケージメディアではなく、ダウンロード販売ということになる。法の狙いとは逆のいささか本末転倒のような気もするが、法は法なのでいまは仕方がない。

ノルウェイの “2L” というレーベルでは、すばらしいことに、同一音源をテスト用にDSD, FLAC(PCM)などの各種フォーマットでダウンロードできるようにしてくれている (そしてもちろん、ダウンロード販売もしている)。オーディオの趣味用としてこうした活動は本当にありがたいが、音楽を聴く趣味として、もっとふつうに、簡単に、幅広く高音質の音楽を楽しめるようにならないものか、と思わずにいられない。

 

Annotations :
TEAC UD-501
Link : TEACのサイト
2L: the Nordic sound
Link : http://www.2l.no/

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2009年12月 6日 (日)

foo_NowPlaying.gadget (foobar2000 用ガジェット)

foo_NowPlaying.gadget 先日通りすがりさんからリクエストをいただいたのと、ときどき某掲示板で話題にしてもらっていることもあるようなので、Windows 7 / Windows Vista 用のガジェット foo_NowPlaying.gadget を公開しました。

この foo_NowPlaying.gadget は、フリーのプレイヤー・ソフト foobar2000 用の Windows ガジェット (サイドバー・ガジェット) です。このブログの右側に、foo_NowPlaying.gadget 用のページへのリンクがありますので、そこからダウンロードできます。

foobar2000 の Version 0.9.5.3 以降で使用した実績がありますが、現在はもっぱら、自分で使っている Version 0.9.6.9 で動作確認しています。

また、このガジェットの動作には、foosion氏作成の COM Automation server "foo_comserver2" が必要です。 foo_comserver2 は、ここからダウンロードできます。使用しているバージョンは、この記事を書いている現在最新の、0.7 alpha 6 です (長いあいだこのバージョンのままのようです)。


foo_NowPlaying.gadget は表示専用のガジェットです。このガジェットから操作できることはほとんどありません。表面をクリックすると、 foobar2000が起動していなければ起動します。逆に起動していれば「アクティベート」します。アクティベートというのは、こちらの期待としては foobar2000が隠れたり最小化していれば前面に表示されてほしいのですが、なぜかそういうようには動かないこともあるようです(^_^;。

演奏中は、その楽曲とおなじフォルダに画像があればランダムに表示します。またそれ以外に、Associated-Images と呼んでいる、"連想画像表示" 機能があります。これは、演奏中の楽曲から単語を抜き出し、その単語に合致する画像を、特定のフォルダの下から自動的に探してきて表示するものです。たとえば、あるフォルダに "otter.jpg" を置いておき、このフォルダを設定画面の Associated-Images Folder として指定しておくと、Otter が歌っている曲を演奏中、otter.jpg など "otter" をファイル名に含む画像を探してきてランダムに表示します。ただし、もちろんこの場合には、楽曲の Title、Artist、Performer などのタグのどこかに Otter の名前が入っている必要があります。

このガジェットを作成した経緯は、「foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット」と「foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット (その2)」に長々と書いたので、ここではくり返しません(^^;。このガジェットがお役に立てれば幸いです。

 

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2009年6月21日 (日)

『レコード芸術』名曲名盤300 と PCオーディオ

932905 途中で数年間のブランクがあるとはいえ、雑誌『レコード芸術』をかれこれ20年以上読みつづけている。ここ数年は定期購読にしているので、買おうかどうしようか迷うヒマもなく毎月届く。クラシックレコード業界の不振で目新しいニュースが少なく、いっぽうでインターネットで速報的なニュースが簡単に手に入る状況で、こうした月評主体の雑誌を購入する意味はあるのだろうか、と自問することも正直なところ少なくない。言葉は悪いが「惰性」で買いつづけているようなところもある。

ただ、こうした雑誌というメディアでしか手に入らない情報もある。それは、きちんとコストをかけた特集記事だ。「コストをかけた」というのは、多彩な有識者による多角的なデータや分析、論評に支えられた記事という意味だ。インターネットで無償で手にいれられる記事は、まさにこのブログのような一個人の独り言だったり、広告収入を前提とした記事だったりして、情報としては有用ではあるけれど、どうしても矮小化、希薄化している。それらをつなげて熟成させるのは読み手の意識なのだが、それだけではどうしても――すくなくともぼくの場合――ある一定の限界のなかに収まってしまう。


その点、雑誌など有償の情報の内容の濃さは、いうまでもなく無償の情報とは比較にならない。話が逸れる上に妄言のようなことを言うようだけれど、若い連中の仕事を見ていると、なにか技術的な課題があったとき、インターネットの検索だけに頼って解決しようとする傾向が強くなっているような気がする。有償の情報を上手に使えなくなっているのだ。一時期言われた「Google の検索でヒットしなければ、この世に存在しないのと同じ」というようなことを「信じている」というよりは頭からそう思い込んでいるような気がする。実際はもちろんそんなことはない。大きな本屋に行けば、上質で密度の濃い情報はたくさん――そうでない情報も事実としてたくさんあるが――並んでいる。

話をもどそう。だから、『レコード芸術』誌には今後もぜひとも特集記事でがんばってほしいと思う。この内容は、個人ブログからもHMVのサイトからも、なかなか手に入れられないものなのだから。

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すこしまえ――2009年5月号の特集は「新編 名曲名盤300①」だった。

『レコード芸術』は数年に1回、数ヶ月にわたってこの「名曲名盤」の特集記事を組む。前回は2001年だったようだ。いつもこの特集がはじまると、ネタ切れとマンネリの様相が感じられ、正直なところがっかりする。これまで真剣に読んだ記憶もあまりない。

ところが今回は、なぜか面白くて何度も読み返した。なぜ面白いのか、自分でもよくわからなかった。第1回の5月はバッハからベートーヴェンまでが取り上げられている。思いがけない演奏家がランクアップしているわけでもなく、たとえばバッハで見ると、端的に言ってしまえば声楽はリヒター鍵盤はグールドである。そうめずらしい結論でもない。あえて言えば、今年バッハの講評を担当されている矢澤孝樹氏の文章は、かすかに独善的なきらいがあるけれど、それ故に読んでいて面白い。でもだからといって、それだけで特集全体が底上げされて面白くなった、ということでもない。

いろいろ考えているうちに、それは、PCオーディオになって聴きくらべが簡単になったからだという気がしてきた。

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以前 Windows Vista化する話のときに大騒ぎして書いたとおり、ぼくのオーディオ・プレーヤーはPCである。それはもう何年も前からそうなのだが、プレーヤー・ソフトとして愛用している foobar2000 の Media Library が最近劇的に使いやすくなり、「録音データベース」がより簡単に使えるようになった。

TMD-Title じつはむかし、おなじように録音データベースを扱うソフトウェアを作ったことがある。それなりに手間ヒマをかけ、われながらまあまあのものができたのものの、ドキュメントを用意するのが面倒で(爆)、結局公開せずに終わった。このソフトは外部にデータベースを持つ方式で、演奏の情報だけでなく、コメントも記録することができ、データのリストをシステム手帳など小さいサイズにきれいに印刷できるのがウリだった。その機能は言うまでもなく、店頭でおなじCDの二重買いを防ぐためだ。

これはこれで個人的には充分使えていたのだけれど、やがて時代はかわり、CDはインターネットで――つまり自分の部屋で――買うようになり、一方で楽曲の情報はその楽曲自身がタグ情報として保持することが一般的になった。foobar2000 は、そのタグ情報をデータベース化し、高速で簡単に検索できるようになっている。最初はこの機能をオマケ程度に考えていてロクに活用もしていなかったのだけれど、Version 0.9 以降になってユーザインタフェースが一新され、それにあわせて使い勝手もグンとよくなった(ひょっとしたらぼくが知らなかっただけで、それ以前のバージョンでもおなじように使えていたのかもしれない)。タグ側の形式も、ID3v2でUnicodeが一般化して多言語が扱えるようになり、ひとつのタグに複数の値を書き込むこともできるようになってきた(クラシックの場合、演奏家を記録する場合に必須だ)。

こうしてPC内のデータを整備すると、たとえばバイエルン放送交響楽団の演奏は、とフィルターで入力すると、指揮者やレーベルを超えて、瞬時にこのオーケストラによる録音をリストアップさせることができる。自分でもこれだけ録音を持っていたのかと驚く。あの演奏はこのオーケストラだったのか、と再発見もする。もちろんそのまま演奏もできる。なにか調べたいことがあって検索したいときに、その効果は絶大だ。

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もちろん、PCを使おうがどうしようが、「聴きくらべ」はむかしからクラシック音楽の楽しみのひとつだった。ある楽曲を、さまざまな演奏家が自分なりの解釈をもって演奏する――ぼくのような聴き手は、その楽曲だけでなく、演奏家の個性や新しい解釈を楽しみにもしている。だから新しい録音が出ればついつい買ってしまう。

最近のCDの廉価化が深く関係していると思うけれど、手持ちのCDも飛躍的に増えて、だんだん棚から探し出すのも面倒というかむずかしくなってきた。『レコード芸術』の特集で名曲名盤300のリストをながめていても、その録音を持っているかどうか、記憶が覚束ないありさまだ。

PCに記録してあると、そういうことはあまり悩まなくてもいい。この特集でバッハの平均律クラヴィーア曲集はグールドが第1位だったことにすこし驚き――考えてみればあたりまえの結果なのだろうけれど、自分のなかではリヒテルの演奏が別格で位置していたので――あらためて自分が持っている録音をリストアップしてみると、リヒテル2種、グールド、シフ、グルダの録音が出てきた。グルダの演奏は持っていることも忘れていたし、かつても1回くらいしか聴いていないはずだ。そのグルダは今回の特集では第2位に輝いている。

早速、これらの演奏を mp3 に変換して iPod に入れ、通勤中に1ヶ月以上かけて全員による平均律クラヴィーア曲集の全曲演奏会をやった。馬鹿げているようだが面白かった。グールドの演奏もグルダの演奏も聴いたのはひさしぶりで、それぞれの演奏について、思うところ・再発見したことはいろいろあったけれど、それはまたべつの話にしよう。

こういうデジタル技術の「軽さ」は、とてもいい。ひとむかしまえだと夢のようだったことができる。『レコード芸術』の「名曲名盤300」の特集は、こういう時代に、ひょっとしたらもっと面白くなってくるのかもしれない(笑)。

 

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2008年7月 7日 (月)

ATI RADEON HD3450 から HDMI で音声出力

HD3450 オンキヨーのAVアンプ TX-SA606X があらたに到着するのにあわせて、リビングのPCのグラフィックカードもあたらしくした。最近は濃厚な発色が気に入ってもっぱら nVIDIA の GeForce ばかり使っていたのだが、HDMI 出力をやってみたくて ATI (AMD) の RADEON に切り替えたのだ。 

そもそも HDMI に対応したテレビを持っていないのにどうするんだ、という話はあるが、TX-SA606X がやってきたことで、すこし状況は変わった。そう、RADEON HD3xxx シリーズ以降の持つ HDMI への音声出力機能を使って、TX-SA606X に音声信号のみを伝送し、このアンプを音楽用のDAコンバータ+アンプとして使おう、ということである。


もちろん、それだけの目的であればサウンドカードやオンボードの SPDIF 出力を使えば難なく実現できる。実際、アンプが到着したその日にそれはやってみた。なにも問題はなかった。ただひとつ、あるとすれば、PC内のオーディオデバイスがひとつしかないために、アナログ接続した机上のPC用スピーカーと、アンプ経由のデジタルデータが同時に鳴ってしまう、ということである。それでなにも問題ないと言われる向きには理解しづらいことかもしれないけれど、PCで音楽を再生し、アンプを経由してすこし大きな音で音楽を鳴らしているとき、メールがきたり、イベントが発生したりすると、Windows の効果音が大きな音で音楽とともにスピーカーから響いてしまう。それがいやなのだ。だから、音楽用のオーディオデバイスと、Windows サウンド用のオーディオデバイスはふたつに分けて使いたい (自分の部屋のPCも RME DIGI 96/8 PST を使って、おなじことをやっている)。

RADEON の HDMI 音声出力機能は、GPU自身がひとつの独立した音声デバイスとして動作する (はず)。だからここを1系統使えれば――音質の云々はさておき――これを音楽専用して使うことができる。Windows サウンド用には、いままで通りオンボードのサウンド機能を使えばいい。

購入したのは、RADEON HD3450 を搭載した Sapphire 製デュアル DVI 出力のグラフィックカード「RADEON HD 3450 512MB DDR2 PCIE」。ほんとうは DVI 出力と HDMI 出力の両方があればよかったのだけれど、一時期はよく見かけたはずのその種のカードは、いまは入手がむずかしくなっているようだった。だから、このカードを買って、デュアル DVI 出力のうち片側から DVI-HDMI 変換アダプタを通して HDMI 出力することにした。GPUは、いつものように高い性能は求めず、ファンレスを必須条件として選んだら、 HD3450 になった。ついでに言えば、このチップを搭載したカードはとても安く、DDR2 512MB のメモリを搭載して6千円弱だった。すばらしい (^_^)。

そして、DVI-HDMI 変換アダプタとして、玄人志向の「DVI-HDMI3」も購入した。RADEON HD3 シリーズ用で音声出力が見込めそうなのは、これくらいしか見当たらず、ほかの DVI-HDMI 変換コネクタ・ケーブルの類は、画像は出ても音声は出ない、という意見がインターネット上には多い。

でも、この HD3450 と DVI-HDMI3 を使っても、なかなか音は出なかった。正直、もう何度もあきらめようと思った。貴重な休日をこんなことで潰してしまうなんてアホにもほどがある、と自分でも思う瞬間があった (笑)。

結果として音は出た。4つの問題があった。音が出るまでに3つ。そして音が出てから1つ。

まず、デバイスドライバの問題。ATI のサイトから最新のHDオーディオ用ドライバをダウンロードして使ったのだが、これを使うと「デバイス マネージャ」ではオーディオデバイスとしては正常に認識されるものの、Windows XP SP2 でコントロールパネルを開き、「サウンドとオーディオ デバイス」の項目を開いても「オーディオ」タブや「音声再生」タブの部分で、どうしてもデバイスとして登場してこない。

登場しなかったら選択のしようがない。Windows の MME では認識できるデバイス数に上限があるような話を聞いたことがあったので、Google で世界を徘徊するも手がかりはなく、OSの再インストールや Windows Vista 化まで思いつめた。この問題で半日を潰した。結局これは、ATI のサイトにある最新のドライバではなく、グラフィックカードに付属していたCDからドライバをインストールすることで解決した。ふだん製品付属のドライバCDなど相手にせず、メーカーのサイトから最新のドライバをダウンロードするようにしていたのだが、この行動が裏目に出たことになる。がっくり。

再生デバイスとして選択できるようになって、ソフトウェア的には整合のとれた状態になったものの、やはりアンプからは音はまったく出ない。ここからさらに半日を要した。グラフィックカードの初期不良や、玄人志向の DVI-HDMI3、HDMI ケーブル。そもそも音を出すことができるのかできないのか、さまざまな要因が脳裏にうごめく。とくに玄人志向の DVI-HDMI3 は、「RADEON H3xxx シリーズ専用」というだけで、じつは音声出力の実績はないのではないか――そんなことを疑いだすと、もうあれこれ試す気力も失くしそうになるし、実際、何度も SPDIF での出力路線を心のなかで再検討したりもした。

結局、ここにはふたつの問題があった。

ひとつは、グラフィックカード側のコネクタ位置の問題。見た目におなじ DVI コネクタがふたつ並んでいるけれど、音声出力に対応するのは、どうも片側だけのようだ。

もうひとつは、アンプ側のHDMI端子の問題。並列に4入力が並んでいるので、なんとなく遠慮して(笑)、4番目にPCをつないでいた。これがよくなかったようだ。結果としては1番目につないだときだけ、音が出た。4番目につないだときには最後まで音が出なかった。2と3は力尽きて試していない。

まとめると、アンプから HDMI 経由で音が出るまでに解決したのは、つぎの3点だった。

  1. グラフィックカードのオーディオドライバは、付属CDからインストールする
  2. グラフィックカードからの HDMI 出力は、背面から見て左側、つまりマザーボード側のコネクタにを接続する。
  3. アンプ側は HDMI1 に入力する。

最初から「当たり」の設定でやっていればそれだけの話なのだが、外してしまった場合、この組合せを見つけるのは大変だ。いずれも「なぜ」というのはいまだによくわからない。

これでなにもかも完成――そう思って機嫌よくいろいろと試しているうちに、またがっくりするような現象が起きた。それまで正常に稼動していたPCを再起動すると、ディスプレイになにも映らないのだ。真っ黒。起動時の BIOS 画面は出る。Windows XP の起動途中の画面も出る。起動した、と思うと、真っ黒になる。

グラフィックカードの DVI コネクタのうち、マザーボードに近いほうに HDMI 出力をつなげている。たぶん、この DVI コネクタはプライマリ出力用なのだろう。それで、画面が HDMI の方に出力されて、ディスプレイのほうにはなにも出力されないのかもしれない――そう思ったけれど、HDMI 出力をつないでいるアンプはスタンバイ状態で、逆にディスプレイのほうは通電してある。グラフィックカードもそのくらいは理解して、どちらに画面を出力すべきか判断できそうなものだ。

ここで何気なくアンプの電源を入れると、PCのディスプレイのほうにもデスクトップ画面がもどってきた。その状態で ATI Catalyst を起動してみると、PCディスプレイをプライマリ、 TX-SA606X をクローンとしてきちんと認識している。

もういちど試してもおなじ。アンプをスタンバイにして、PCを起動するとディスプレイは映らず、アンプの電源を入れると映る。いちど映ると、もうアンプをスタンバイにしても大丈夫。

これは、結局、アンプ TX-SA606X 側の設定に問題(?) があった。HDMI の設定で、 PowerControl を有効にしていた。これを有効にしていると、PCの起動時にPCのディスプレイが真っ黒になる。無効にしていると、問題なくPCが起動する。

いまは HDMI 対応機器はPC以外にないので、PowerControl を有効にする理由はない。初期設定も無効になっている。いろいろ設定をいじっているときに、何気なく有効にしてしまったようだ。近い将来、いくつか HDMI 対応機器を導入していく予定にしているが、この設定をどうしていくかは、そのときにまた考えることにしよう。

ちなみに、PowerControl の機能は、TX-SA606X の(隠れた)目玉機能のひとつである、HDMI スルーを実現するときに必要となる。ただ HDMI スルーの機能は、要するにスタンバイ状態であってもデジタル系は稼動させておくということだから、待機電力がかなり増える。それは HDMI がアナログ信号ではなくデジタル信号だから、しかたのないことだ。たぶんぼくは HDMI スルーの機能は使わないだろう。ただ電源連携ということになると、ひょっとしたら使いたくなるかもしれない。

これで、いちおうやりたいことはできた。Windows のサウンドはPC用スピーカーから鳴り、音楽はアンプを通してきちんとした (笑) スピーカーから鳴る。再生用のソフトは、再生デバイスを個別に指定できる foobar2000。むかしの Windows Media Player もこれができたのだが、残念ながら最新の 11 ではできなくなってしまっている。

肝心の音質は?――それはまだ云々できそうにない。TX-SA606X の持つイコライザ Audyssey 2EQ の効果も結構インパクトがあり、その使いかただけでもかなり音質が変わる。ただ、聴いてすぐ驚いたのは、SPDIF 入力に比べて、HDMI 入力はバックグラウンド・ノイズがきわめて小さいということだった。なにかのまちがいかも――と、いまでもすこし疑問に思うほど、ノイズ量がちがう。それは、HDMI が優秀というよりは、伝送方式とプロセッサのちがいからくるもの、ということのような気がする。

HDMI で音声(音楽)伝送という形態を今後も常用するかどうか、というのは正直微妙だ。今回はなんとか抑えこむことができたけれど、いずれ映像系も含めて考えていくとなると、またいろいろと問題が起きるような気がする。それであれば、もう1系統、SPDIF 出力のできる安いサウンドカード(オーディオカードではなく)を導入するほうが接続性やコストとしてはよほど簡便だ。とはいえ、PCI Express 対応のサウンドカードとなると、あまり良さそうなものがないし、昨今はもう PCI バスは貴重なリソースになりつつある。かといって USB 対応機器にはぼくのなかで根強い不信感もある。

PC内に音声出力をもう1系統持ちたいというだけのことなのだけれど、意外と手間がかかる。

 

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2008年5月11日 (日)

foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット (その2)

foobar2000Gadget 先日、Law James 氏による "Now Playing" という Vista 用のサイドバー・ガジェットをご紹介した。それをすこし自分用に改造させてもらって使っているという話もした。

それが――薄々そうなるような気はしていたのだが――いろいろと調整しているうちに面倒くさくなり、結局ぜんぶ自分で作りなおすことにした。いやもちろん、自分で作るほうがよほど面倒だという話もあるけれど、「いつでももとにもどせるように」と改修箇所に足跡を残したりしているうちに足跡だらけで煩雑になってきて、「もとにもどす機会」など絶対にこないと思うようになった。そして James 氏にはやや失礼ながら、もともとの構造上の混沌感も気になりはじめて、もはやもとにもどす気がないのであれば、まっさらのところから作りなおしたほうがいいという自暴自棄的な結論に至ったのだ。その成果が、左上に表示しているスナッショットだ。


おかげで、今年のゴールデン・ウィークはこのガジェットと CSS と JavaScript 漬けの日々になった。自宅にいるあいだは当然として、子供たちを連れて実家に帰ったときも、ずっとノートPCと向きあっていた。親からすれば、たまにしか帰ってこないのに「いったい、なにしに来たんや」という状況のはずなのだけれど、じつはこれはそうでもなくて、要するにぼくは車を運転してかわいい孫を連れて行きさえすればそれで役割は果たしたも同然なのだ。ただまあ、いい年こいて iPod を首からぶら下げてPCに向かって没入している姿は、かなり感じの悪いものだったにはちがいない。

ぼくは長らくソフトウェア開発をやってきたけれど、 Web まわりの開発技術にはまったく弱い。仕事ではバックエンドのデーモンやサービスの開発が多く、また個人的にやっていたフリーソフトやシェアウェアも、いわゆる Windows ネイティヴの GUI アプリばかり。言語はもっぱら溺愛する C++。もうそろそろレガシーの仲間入りだ。それに追い討ちをかけるように、この数年は自分で直接作業をするということがあまりなくなってきて、かわりに頼もしい (?) 若い連中が活躍してくれるようになった。 Web まわりの仕事は、ぼく自身は爪先立ちでようすをうかがうような気持ちで接してきた。

そんな状況なものだから、いまどきのひとたちなら常識の範疇ですませてしまうようなことが、いちいち調べながらになって、だいぶ時間がかかった。おまけにこの手のアプリケーションでは、なにかと画像素材が必要になる。これまでデジカメ写真の処理でしか使っていなかった Adobe Photoshop Elements 6 をひっぱりだしてきて、はじめて使う機能に悩みながら、そもそも持ちあわせていない絵心を叱咤激励し、素材を作るだけでもまる一日かかった。

でもおかげで、さまざまなことが勉強できた。 JavaScript は Java というよりまるで C言語+Variant スクリプトじゃねえかと思いつつ――そんなことも知らなかったのだ――連休が終わるころには、どうか自分でクラス (カスタムオブジェクト) を作れるようになり、そうなるとカプセル化もできるようになる。そうして日に日に構造もマシなものになっていった。

また、Vista ガジェットは、当然のごとく Windows Vista で動作する。ということは、ブラウザ環境として Internet Explorer 7 の環境を前提としていいということだ。これはありがたかった。ブラウザの互換性の問題に悩んでいたら、とても数日程度の休暇では仕上げられなかっただろう。

ガジェットの基本構造は、James 氏のものではなく、MSDN に掲載されていたDonavon West 氏の記事のものを参考にした。なんでもかんでもスクリプト側で処理して、HTML/CSS 側を徹底的に簡素にする氏のやり方は全面的には賛成しかねるものの、入門者としてはとても役に立った。

できあがったガジェットは、冒頭にあげた画像で見てのとおり、サイドバーにドッキングした状態でありながら、すこし外にはみ出している。お行儀の悪いガジェットである。いろいろ迷ったけれど、これくらいが「表示する情報量」と「土地代」のバランスがいいような気がしたからだ。このあたりの大きさは、設定で変えられるようにした。

foobar2000Gadget2ぼくが使わない機能は、ほとんど入れなかった。対応しているプレーヤーソフトは foobar2000 だけだし、歌詞の対応も amazon の商品ページへのリンクもない。トラック名はアルバムジャケットの上に表示して長い曲名でもわかりやすくして、再生位置やトラック情報は専用の表示場所を用意した。

ときどき、反応が鈍くなり、foobar2000 での再生が「詰まる」場合がある。たぶん foobar2000 の COM Automation Server プラグイン側で例外が発生しているのだろうと思うが、まだよくわからない。詰まっている数秒のあいだは、Windows の WerFault.exe が起動している。Sidebar.exe から見ると foobar2000.exe はアウトプロセスサーバということになり、Sidebar.exe からの COM Automation Server 経由でのアクセスと、 foobar2000 自身の動作とで、排他がうまくいっていないのかもしれない。曲の再生しはじめや、foobar2000 の終了時によく発生している気がするけれど、いずれにしてももうしばらくその辺は調べていく必要がありそうだ。

冒頭にあげた画像で、下についている小さいガジェットは、勢いでこの土日に作成した、プリアンプ MIMESIS 27ME の状態表示ガジェットだ。ボリューム位置や入力チャネルなどが表示されている。背景には、このアンプのアイコンであるローレット加工のボリュームの写真を加工して貼りこんであるが、見てのとおりじつはこのブログのタイトル用に撮影した写真とおなじものだ。

MIMESIS27 もともとはタスクトレーに常駐し、 RS-232C 経由で MIMESIS 27 を制御する Win32 版のツールを作って使っていたのだが、タスクトレーだけでは表示できる情報が小さすぎ、ポップアップを出せば邪魔になる。これもガジェットにしたことで快適になった。ガジェットから RS-232C の通信をさせるのは簡単にはできなさそうなので、このタスクトレー用のツールを介して通信を行っている。

ガジェットそのものはたいしたことはなかったけれど、タスクトレー用のツールに対して OLE オートメーションサーバの機能を加えるところが大変だった。どうも OLE はややこしい。スクリプティングの世界から見ると、とても簡単で便利なものなのだが。

追記: ここでご紹介したガジェットを公開しました。問題も対策ずみです。詳しくはここを参照ください。

 

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2008年4月26日 (土)

foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット

FoobarSidebar3 PCを音楽プレイヤーとして使うようになって、4年ほどが経過した。そのあいだ、ほぼずっと RME のオーディオカードと CHORD の DAC64 Mk2 という組みあわせで聴いている。

一時期は M-Audio のカードを使ったり、エソテリックの G-25U を入れて 88.2kHz や 176.4kHz にアップコンバートしたりもした。この構成だと、否応なくたまりはじめている SACD が聴けないという課題もあったりするけれど、結局はこの基本的な組みあわせに落ち着いている。


そうそう、以前話題にしたデジタルケーブルは、結局、オヤイデ電気商会の銀単線 FTVS-510 と、フルテックの RCA と BNC コネクタを使用して、自作する結果になった。銀単線ということでクセがありそうな気配だったけれど、ぼくがデジタルケーブルの基本と思っているシールドがしっかりしていること、高周波のデジタル信号だから純度優先でもいいだろうと思い、これを選んだ。結果として銀単線の悪そうなクセは顕著には出ていないようで、鮮明感と力感として感じられ、気に入って使いつづけている。

プレイヤーソフトは、ずっと foobar2000 をカスタマイズして使用している。フォーマットは以前は FLAC、いまはタグの扱いが簡単なので TTA。出力はあきらかに鮮度感がちがうので、 ASIO 経由にしている。

この環境で、先日――といっても半年ほどまえ――Windows XP から Windows Vista に大移行した。そのときのドタバタはご報告したとおりで、その後はなんとか安定的に使用できている。Windows Vista は、世間でなにをどう評価されようが、ぼくは断然気に入っている。その理由はただひとつ――ウィンドウの表示・消去の際に、フワッと出入りするからだ(笑)。

その Windows Vista にしてから、サイドバーというものがつくようになった (サードパーティによるサイドバーは、Google のものをはじめ Windows XP でも使用できるものもある)。

ディスプレイもワイドに変えて、便利に使用しているけれど、ひとつだけ、やりたくてもできないことがあった――それは、 foobar2000 で演奏中の曲をサイドバーに表示させたいということだった。ずっと "Pretty Popup" というプラグインを使用していたのだけれど、やはりデスクトップのどこに表示させてもどうしても邪魔になる。これをサイドバーという公式の居場所に納めることができれば、邪魔にならずいつでも表示させておくことができる。

インターネット上をさがしても見つからず、日曜大工がわりに自分で作ろうかとも思ったものの、そのときには foobar2000 の HTTP サーバプラグイン、あるいは独自のヘルパ・サービスを仲介させて、ガジェットから XMLHTTP オブジェクトで通信しようという構想でアプローチしていた。この方法だと、HTTP リクエストのキャッシュをかいくぐって無理に通信させたとしても、やはり毎秒更新は負荷的に疑問ののこる実装になってしまい、結局断念していた。

ところが最近になって、その名も "Now Playing" というガジェットを公開されている方がいるのを発見した。このガジェットは Windows Vista 用で、すばらしいことに、 Windows Media Player, iTunes, Winamp, MediaMonkey そして foobar2000 に対応している!

いったいどんな仕掛けで対応しているのだろうと思って調べてみたら、王道である COM オートメーションを介しての対応だった。要するに ActiveX だ。 foobar2000 では、foosion 氏がオートメーションサーバ・プラグインを提供されている。現段階では (というか2003年からずっと) まだアルファ版の状態で、ぼくも存在は知っていたけれど、この "アルファ版" というのが気になって、あまり真剣には調べなかったのだ。この "Now Playing" ガジェットの作者、 Law James 氏はこのオートメーションサーバをメインに、あとヘルパ・ツールを使用してガジェットを実装されている。すでにバージョンは 4.0x になっており、以前から提供されていたようだ。

さっそくダウンロードして使ってみた。それが冒頭に挙げたイメージだ。先日購入したスピノージのヴィヴァルディ "NISI DOMINUS" から "CRUCIFIXUS" をかけているところ。ジャケット画像や日本語も問題なくきちんと表示される。

表示方法は設定でさまざまに変更できる。ただ演奏時間は、マウスをガジェットの上にかざしているあいだだけは表示されるものの、常時表示させることはできないようだった。クラシックの場合は構成の大きな曲もあり、ときどき、いまどのあたりなのか確認したくなる。そのたびにマウスを動かすのもわずらわしい。それにトラック番号の表示もほしい。

それで、その部分はガジェットの内部をすこし改造させていただいて、演奏時間とトラック番号が常時表示できるようにして使っている。

"Now Playing" ガジェットは基本的にはフリーだが、寄付歓迎とのこと。これなら寄付させてもらってもいいかな、と思う。おかげで、ちょっとしたことだけれど、ずっと不満だったことが解消されて、またひとつPCの環境が快適になった(^^)。

追記: この話には後日談ができた。結局、このガジェットは使わず、自分で作りなおすことになった。とくに大きな不満があるわけでもなかったのだけれど....そのあたりの話は、「foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット (その2)」を参照ください。

 

 

Annotations :
"Now Playing" ガジェット作者 Law James 氏のホームページ :
Link : Law's Sidebar Gadget Development Blog

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2008年2月24日 (日)

デジタル ケーブル

Cardas-WireWorld すこし機器の配置を変えたら、愛用していた 1mのデジタルケーブル、CARDAS の Lightning 15 では長さが足らなくなってしまった。それで、以前から持っていた 1.5m の Wire World の Gold Starlight に交換した。そのまま2週間くらいがすぎた。


プロファイルのページに書いているように、ぼくの本業はソフトウェア開発者だ。長くなってきた業歴のなかで、いわゆるアセンブラでのファームウェアからUNIX/LinuxやWindowsといった "高級な" OSまで、さまざまなプラットフォームで仕事をしてきた。

その立場の知識でいえば、デジタルケーブルで音が変わるというのは、なかなか容易には信じられない。デジタルデータは、劣化する場合には「微妙に」劣化するのではなく、データが「化けて」しまう。だから、伝送経路でなにか問題が発生した場合には、音が変わるという程度ではすまなくて、以前 DAC64 について書いた際にも触れたように、盛大なデジタルノイズとなってあらわれるはず、微妙に音が変わるなんてありえない――そう考えがちだ。

もちろん、これはデジタルケーブルという伝送路の話であって、メディアからデータを読み出すトランスポート部分と、そのデジタルデータを最終的にアナログ信号(実際の音)に変換するDAコンバータ部分では、いろいろと課題のあることは理解できる。CDから読み出すときにはエラー訂正が入る場合も多く、CDトランスポートの処理方式によっては、それがデータを変化させてしまう場合もあるだろう。また出口側で音に変換するDAコンバータは、まさに「微妙に」変化するアナログ信号に変換する部分だから、機器の特徴が出やすい。

さらに、以上の議論はいずれもデジタルデータの "内容" に基いた話だ。その下のハード屋さんの領域に降りていくと、このデータ内容を伝送するための信号に、ジッタといわれるゆらぎの問題が出てくる。通常のCDクオリティの信号であれば、簡単に言って1秒間に44,100x16(ビット)x2(チャネル)=1,411,200回のパルス信号が送られてくる。実際にはここに付加的な信号も加わるので、もっと多くなる。仮に1,411,200回のパルス信号として話を進めると、ひとつひとつのパルスの間隔は 1/1,411,200秒 ≒ 0.7 マイクロ秒になり、その時間間隔ごとにパルスを受けとることになる。ところがこれが時間通りにこないで、すこしずつ遅れたり早まったりする。回路はこれらを補正して受信し、結果としてきちんとデータを復元するわけだけれど、このジッタ補正の影響がもとのデータを変化させていたり、回路全体に影響してアナログ変換された「音」を変化させる。

このあたりは、バッファ付き入出力を前提としたコンピュータ系の各種伝送方式と、リアルタイム性と取り扱いの容易さを重視したSPDIFなど音楽信号用の伝送とで、考えかたがちがうのだろう。

また、本題よりも周辺の話で長くなってしまった。機器のレイアウトを変更して2週間くらいたったころ、ふと、どうも全体の音がまろやかになった気がした。はじめは理由がわからず首を捻っていたが、デジタルケーブルを Wire World の Gold Starlight に変更していたことを思い出した。

Gold Starlight は Wire World のラインアップのなかでも最上位のデジタルケーブルで、市場での評価も高く、ついでにいえば値段も高い。むかしから持っているが、この「まろやかさ」がぼやけた感じに思えて、どうも苦手だったことを思い出した。長いあいだ使っていなかったので、その印象も忘れてしまっていた。

ぼくがケーブルに対して(無理を承知で)期待しているのは、中低域の力感と、高域の透明感を両立させてほしい、ということだ。その思いのおかげで、世間ではドンシャリ気味と言われるようなケーブルをいまでも手放せずにときどき使っている。その例の最たるものはSAECのSL-1990V2で、悪く言うひとは悪く言うけれど、高域の澄みきった透明感についてはほかに変わるものがなく、これまで何回も使用を止めては、復活をくり返している。

結局、デジタルケーブルは Wire Worldよりさらにむかしに買った、ACROLINKの6N-D5070を引っぱり出してくることになった。このケーブルは、価格帯で言えば Wire WorldやCARDASに比べたらはるかに安価で、これといった特徴もない目立たない存在なのだけれど、結局、いちばんバランスが整っているような気がする。

 

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