愛郷の森
今年、うちの会社の夏休みは9日間あった。でも残念ながら、トラブルを起こした他課の工事の応援に入ることになり、結局2日間しか休めなかった。
その2日間、滋賀県の東近江市永源寺にある、「愛郷の森」に家族でキャンプに行ってきた。キャンプとは言っても、設備の整ったコテージがあり、不自由を感じることはほとんどないのだが、夫婦ともにかなりインドア派であるわが家としては、相当めずらしいイベントだった。
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ことの発端は判然としない――決して子供たちが行きたがったわけでもない。ただ、下の子が小学生になってそれなりに動けるようになってきたこと、一方で上の子は小学校高学年になってきて、「そういうこと」ができるのも意外とあと何年もないかも――というような深夜の大人の会話があって、なぜかふたりとも行く気になってしまったのだ。
調べてみると、初心者にも敷居の低いキャンプ施設は全国に――もちろん近畿圏内にも――たくさんあった。ただ、調べはじめたのはすでに6月になってからだったので、夏休みのシーズンはどこも予約でいっぱい。そんななかで奇跡的に空いていて、設備的にも満足できそうなのが、滋賀県の「愛郷の森」だった。インターネットを検索してみるとすぐにわかるけれど、行かれた皆さんの評判はすこぶる良い。実際に行ってみて、その期待は裏切られなかった――天候には思いっきり裏切られたけど(笑)。
空いていたコテージは、すこし大きい8人用で、一泊2万円。家族全員が宿泊できて、バス・トイレ・寝具完備、と考えると安いものである。あと愛郷の森のポイントとしては、川遊びができること、バーベキュー炉が用意されていること、そしてその炉に屋根があること、などがあった。この最後の「屋根」は、あってくれて本当に助かった(^^;。
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行くと決めたはいいけれど、なにしろ経験ナシの初心者だ。インターネットでの先輩諸氏の情報や書籍を参考にしながら準備をした。道具として買ったのは――大物では椅子、テーブル、シングルコンロ、ランタン、大きなクーラーボックス――などである。どれもそれなりの値段がするか、あるいはあとあと収納場所に困りそうなものばかりなので、悩みに悩んで厳選したものだが、結果としてすべての道具をきちんと使って終わった。どれも買ってよかったものばかりだ。
そして細かいもの――料理用、炭用それぞれのトングやプラスチックの食器、調理道具、炭や着火材などの消耗品、ホテルではないので洗剤やシャンプー、洗面用具などの生活用品を用意した。
食料は現地調達。 Google Maps で見るかぎりいちばん近そうなスーパー平和堂に行ったものの、ここはかぎりなく日常生活向けのスーパーだった。あとで知ったのだが、すこし足を伸ばして西友まで行ったほうが、より豊富な食材を選べたと思う。
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ようやく確保した2日間の休み。当日は台風がきていた (^O^;ヒャー。
日本列島に接近してから突如姿を現した台風9号である。その直前に接近していた台風8号は、台湾などアジアに大きな被害をもたらしたものの、愛郷の森的には大丈夫だと踏んでいた。ところが目前になって台風9号が出現して、この台風9号の日本接近とともに出発、ということになってしまった。仕事の予定も変えられないし、愛郷の森の予約ももちろん変えられない。暴風雨になったらどうしようかと言いつつも、「中止」と判断するほどの材料もなかったので、とにかく出発した。
さいわい台風の上陸はまぬがれ、暴風雨には遭遇しなかったけれど、初日は夜までずっと雨ということになった。楽しみにしていた川遊びはできなくなった。残念無念だったが、おかげでゆとりをもって行動することができるようになった。
計画通り名神高速の八日市インターで降り、平和堂で買い物をして、昼食には愛郷の森近くの永源寺そばを食べた。とてもおいしかった(^_^)。
そこまできてはじめて、台風の情報を得られるものが車のラジオか携帯電話しかない、ということに気がついた。コテージにはテレビはない。コテージの目のまえに車が停められるとはいえ、雨のなか車とコテージを往復するのも面倒だし、携帯電話も通じるとはかぎらない(その心配は正しかった)。それであわてて携帯ラジオを買いに走った。ホームセンター・コメリに入ってみたもののめぼしいものがなく、親切な店員さんに西友の存在を教えられ、そちらに向かった。
西友は、上で触れたように立派な設備だった。そこでソニーの携帯ラジオを買った。由緒正しきソニーの携帯ラジオ(笑)を買う日がくるなんて。このラジオは夜まで大活躍だった。2cmくらいの小さなスピーカーから流れるナローレンジの音楽は、不思議と心休まる音色で、コテージの夜にはよく似あった。ちなみにコテージのなかはドコモの携帯電話は「圏外」だった(外に出れば、つながるところもある)。
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到着して訊いてみると、愛郷の森はこの日も満室ということだった。しかもテントサイトでは、テントを張っているひとがいる。台風がくるかも、というときにすごいなあ。と感心した。
夕方にすこし弱まった雨脚も、夜にはふたたび強くなった。でもコテージの横にあるバーベキュー炉には屋根が完備されていて、その下は快適だった。上の子は女房といっしょに食材の準備、ぼくと下の子は炉の準備をした。一抹の不安のあった(笑)火起こしにも無事に成功し(上の写真は着火直後で炎が出ているが、やがて炎は消えて炭だけが燃える状態になる)、お約束のバーベキューもまずまず楽しめた。これで屋根がなかったらと思うと、ゾッとする。そのあと花火をしたものの、これは屋根のなかが濛々とした煙に覆われてしまい、下の子の喘息を誘発しそうだったので早々に切り上げた。
キャンプの夜は長い――と、聞いていたけれど、コテージの夜はあっというまだった。あと片づけをして、シャワーを浴び、子供たちとシーツの準備をして、ひと息つくともう21時を回っていた。コテージのリビングで、ぼくはウィスキー――クラガンモア――を、子供たちは特別にジュースを飲みながら、家族でトランプをした。下の子がそれなりにきちんとトランプができるようになっていて感動した。気がつくと、もう23時を回っている。子供たちは寝て、ぼくと女房も憔悴した頭で2回ほど立体四目並べをして、なにをやっているのかお互いにわからなくなってきたので、寝た。
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朝には雨もやみ、晴れ間も見えるようになっていたので、朝食はコテージのバルコニーでとった。イワタニ・プリムスのシングルコンロでソーセージとキャベツを炒めて、ホットドッグを作って食べた。こういうのはおいしいに決まっている(^_^)。
上の子と炉の片づけ、清掃をして、荷物をまとめ、シーツを事務所に返却し、車に荷物を積み込んで、準備万端。愛郷の森を出発した。
2日目の天気はどんどん回復していった。一日ズレてくれれば川遊びができたのに、と、まだ未練に思いながら、この日は草津市にある滋賀県立琵琶湖博物館に向かった。この話は、機会があればまたべつに書こうと思うけれど、ここを訪れたすべてのブロガーの皆さんが「立派な施設」と言われているのを読んで行ってなお、想像していたよりも立派な施設で驚いた。日をあらためて、この博物館だけを目的にまた来てもいい、と思った。
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こうしてインドア派一家の初キャンプは終了した。また来ようね。ということになった。ぼくはといえば、なんとか小さな夏休みを無事に終えたと安堵しつつ、翌日からはまた仕事にもどった(^_^;。