ゲルギエフのラフマニノフ、交響的舞曲
ちょっと期待が大きすぎたのかもしれない。現代バーバリズムの権化のようなゲルギエフがラフマニノフの交響的舞曲を振ったというので、躊躇なく購入したのだが、実際に1回聴いてあれっと思い、気をとり直して翌日もういちど聴いてみたものの、残念ながら印象は変わらなかった。
ゲルギエフが振るというのだから、こちらは「なにか強くて大きくて恐ろしいもの」が、地の底で障害物に突き当たりながらうごめいているような、そして突如として地表に出てきてもんどり返ったあげくに地面に叩きつけられて、大きな穴をあけてまた地の底へ突入していくような、そんなイメージを期待してしまうし、また実際、そう感じさせるところもなくはないのだが、どうも、どことなく緩慢というか、ゆるく感じてしまうのだ。
最近、交響的舞曲といえば、サイモン・ラトルがベルリン・フィルとシンガポールで公演した演奏をNHK-BSで見た。これは映像ソースだったこともあって、あまりちゃんとは聴けていないのだけれど、ラトルらしい軽快さを感じさせつつもメリハリの効いた演奏で迫力もあり、とても楽しく聴いた (3Dのブルーレイで映像ソフトがリリースされている。映像作品としての評価は賛否あるらしいが、それよりもCDで出してほしい)。
もちろん、ゲルギエフにそういうことを期待しているわけではない。期待は上に書いたとおりだ。ただもうすこし緊迫感というか、息を詰めるような迫力を期待したかった。これは、オーケストラの運動能力の問題なのだろうか? オーケストラはLSO――ロンドン交響楽団。LSOといえば《スター・ウォーズ》なのだが、それはまあいいとして、そういう音楽も手がける一流のオーケストラについて、運動能力が、などというのも、たぶん失礼な話なのだろう。
どうにしても、冒頭に書いたように、期待が大きすぎたのかもしれない。ちょっと残念だ。
なおこのCDには、ストラヴィンスキーの三楽章の交響曲が併録されている。ぼくはこの曲のことはあまり知らないが、すくなくとも、以前から聴いているブーレーズの演奏(ベルリン・フィル版と、シカゴ交響楽団の版)と比べると、こちらはとても面白く聴けた。
Rachmaninov/Symphonic Dances
Stravinsky/Symphony in Three Movements
Valery Gergiev, Conductor
London Symphony Orchestra
LSO Live: LSO0688
LSOによる自主制作盤。すっかりおなじみになった。
Link : HMVジャパン
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