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2008年9月の1件の記事

2008年9月 7日 (日)

B&W 802D と 部屋の対策 (その3)...天井

B&W-MIC 前回、部屋の話をしたのが去年の10月のことだから、すでに1年ちかくがすぎてしまった。そのあいだ、部屋の対策についてはなにもやっていなかったのかといえば、じつはその通りで、いろいろと考えあぐねているだけで、結局ほとんどなにも手をつけていなかった。

スイープ信号を使ってリスニング・ポジションの周波数特性を計測してみると、ぼくの部屋は 85Hzあたりに落ち込み(ディップ)がある。その周波数はちょうど「低域の音」として厚みを感じさせる部分だから、音楽を聴いていて、低域部分が薄くなってしまうという悩みがあった。これは、スピーカーやそのほかの機器が悪いのではなく、定在波の影響だ。定在波については、Nifty の FAV フォーラムの時代から活躍されている HOTEI さんのサイトに詳しい。


リスニング・ポジションでは聴こえにくくなる85Hzの音も、すこし(1mほど)聴く位置をずらしてみると、大きくようすが変わる。あるいは立ったり座ったりしても、聴こえ方が変わる。こうした聴こえ方の変化も、定在波の特徴なのだろうと思う。

ちなみに、周波数特性は下の図のような感じ。上の赤いライン。低域の85Hzあたりでグンと下がっているのがわかる。

Before Skyline

これを軽減しようと、部屋に本棚を入れてみたり(いや、けっして定在波対策のためだけというわけではないのだけれど)前回のようにクローゼットの扉に吸音材をかぶせてみたり、あれこれ対策を試みたものの、いわれてみればすこし良くなったかも? という程度で、顕著な改善は見られなかった。

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以前の記事にも書いたように、なんとなく天井があやしい、という思いは以前からあった。天井の対策といえばRPG社QRDの Skyline(スカイライン)が定番、ということになるのだが、あの物体を天井に貼りつけるには、それなりに勇気がいる。問題は――美観上の課題、効果への疑問、そして価格、だ。気軽に試そうという気にはなかなかなれない。

そんなおり、ひさしぶりに Yahoo オークションをのぞいてみると、ロビン企画さんがQRDのスカイラインによく似たディフューザーをたくさん安価で出品されていることに気がついた。スカイラインのベースになっているディフューザー理論にどれだけ正確に基いているのかはよくわからないけれど、美観・効果・価格のうち、価格が解決されたとなければ、それだけでハードルはずいぶん低くなる(笑)。それでもしばらくはクヨクヨと悩んだすえに、美観にしても効果にしても、やっぱり試してみなければわからん、ということでこれを購入――落札――した。

天井への取りつけは、両面テープ、接着剤、ピン、クギなどいろいろと検討し、結局3Mのコマンドタブを使うことにした。接着力が強力で、厚みがあり、天井や壁に使われているエンボス状のビニールクロスでも相当の力を発揮する。それでいて「キレイにはがせる」というすぐれものだ。

SkyLine2 ほんとうはディフューザーを天井に仮止めして最適場所をさがす――という追い込みをしなければならないのだが、天井とにらめっこして考えたところで、照明や煙感知器を避け、なるべくスピーカーと視聴位置の一次反射面に設置しようとすれば、おのずと位置は決まってくる。3Mのコマンドタブでえいやっと貼りつけた。

強度的にはなにも問題なし。設置してすでに1週間が経過したいまも、緩んでくる気配はない。まあ、かりに落ちたとしても、発泡スチロールだから、怪我をするようなこともないだろう。

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はやる心を抑え、試聴してみた――にわかには信じられなかったが、音が明瞭になり低域の量感も改善している。ほんとうに?――自分でも半信半疑のまま、計測してみたところ、つぎのような感じだった。

After Skyline

冒頭で示した対策前のグラフとは、測定した日がだいぶ離れているし、それ故にたとえばマイク・ゲインと入力音量の関係など、細かい条件も微妙に異なっている。電源やケーブルも一部見直している。だから厳密には比較できないけれど、低域の大きなディップは改善されていることはまちがいないようだ。しかも聴感上それを明確に聴きとることができる。

見た目は――本家のQRDの精度がどれくらいのものかはわからないが――ロビン企画のスカイライン型ディフューザーは、角がとれたりしている。また、いかにも発泡スチロールという感じだ。ただ、造形や強度はしっかりしており、すぐこわれそうなヤワな感じではない。天井に貼りつくと、存在感は強く、これまでなるべく過剰な対策は控えてきたのだが、ついにいかにもオーディオルームみたいな感じになってきた(笑)。女房には「ああ、そういうところまで行ってしまったのね」と冷めた声で言われた。

でも、こういう明確な効果があると、さすがに外そうという気にはまったくなれない。どこかでQRDの実物を見ることができて、その仕上がりに差があるようだったら、ひょっとしたら本家のQRDに交換するかもしれないけれど。

この周波数特性をさらに平坦にするにはどうしたらいいか――なんてことを考えはじめるとキリがない。じつは、この効果に気をよくして、ここしばらくはDRC (Digital Room Correction) にハマッていた。ただ、ぼくのスキルの問題か、あるいはべつの原因があるのか、高域がロールオフしたり定位が不明確になったりして、どうもいま以上のよい効果を得ることができなかった。そんなわけで、しばらくはこの環境で使いつづけることになりそうだ。

Annotations :
スイープ信号の生成とFFT解析には、efuさん作成のフリーソフトウェア、 WaveGene と WaveSpectra を使用させていただきました。このふたつのソフトウェアには、ずいぶん以前から定番としてお世話になっています。この場を借りてお礼申し上げます。
efu さんのサイト: http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/

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