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2008年6月30日 (月)

リビングのホームシアターの再始動

CDM1SE 子供たちがすこし大きくなって、気持ちの余裕が出てきたのか、あるいはなにかが目覚めたのか、女房が「リビングで音楽を聴きたい」と言い出した。

ずっと以前――もう10年ちかく前だ――わが家のリビングには、当時まだそれほど一般化していなかった「ホームシアター」があった。市販されて間もないDVDと、プロジェクターと、スクリーンと、5.1ch のサラウンド環境という構成だった。やがて子供が中途半端に大きくなるにつれ、映画の内容や大きな音を怖がるようになり、またそれと同時に家族全体が土日も含めて「いっぱいいっぱい」の生活を送るようになって、映画を観る習慣も自然に遠のいていった。そこに追い討ちをかけるように東京への転勤があり、横浜の家に移るときにプロジェクターは知人に譲ってしまった。


3年間の横浜での生活中、アンプを2回、変えた。でもそれは、ぼくの部屋の2チャンネル再生用のシステム(世間では――すこし恥ずかしい言葉だが――ピュアオーディオという)の話で、リビングはリアスピーカーも設置せず、かろうじてフロントスピーカーだけ結線されていた状態で、それすらもあまり使うことはなかった。

横浜からいまの関西の家にもどって、さらに2年がすぎた。そのあいだに、このブログでもご報告しているように、スピーカーを変えた。それもやはりピュアオーディオ用で、リビングのAV機器はといえば、恥ずかしながらフロントスピーカーすらも結線されておらず、完全に休眠状態になっていた。

それが、先日の女房の「リビングで音楽を聴きたい」のひとことで、再始動することになった。

関西にもどるとき、ピュアオーディオ用の機器をリビングに移して、AV機器と統合しようか、というアイデアもあった。プリアンプMIMESIS 27ME の SSP モード(スルー入力)を使えば、電気的には簡単に統合できそうだった。もちろん、音質の調整という意味ではいろいろと苦労することもあるだろうけど。

リビングに置く場合のいちばんの問題は、大きくなったとはいってもまだ小さい子供たちである(笑)。自分の子供たちだけであればまあまあ信頼しているから問題ないと思ったが、友達が大勢きたりすると、やはり相乗効果でなにが起こるかわからない。ちょっと危ないかも、ということで、オーディオ機器は依然ぼくの部屋にあり、リビングにはホームシアターの残骸が残されていた。

日曜日、1日かけてリビングの機器の全チャンネルの結線をした(と、さらっと書いてみたものの、それは大変な作業だった(爆))。音をだしてみて、すぐに問題が発覚した。ひとつは、これは以前からわかっていたことだが、リモコンが効かない。さらにそのために、画面上でスピーカーのセットアップができない。そして致命的なことに、フロント左チャンネルと、センターチャンネルの音がおかしい。くぐもった音で、大きくなったり小さくなったりする。固唾を呑んで見守っていると、1分ほどで正常音量、音質になる。勝手に音量が大きくなることから、アンプ側の異常だろうということは想像がついた。

選択肢は3つだ。修理するか、買い替えるか、がまんするか。なにも投資がいらないので、しばらくようすを見ることにした――つまりがまんしてみることにした。ところが数日後、女房によるとまたおなじ現象が起こって、勝手に音量が大きくなったという。これはやっぱりまずそうだ。メーカーであるオンキヨーに問い合わせてみると、保証期間は当然とっくにすぎていて、訪問修理だと相当の金額になるので、サービスセンターまで持ってきてほしい、という。

10年前の決して高級とはいえないAVアンプ。修理料金と買い替え費用の両天秤が、沈黙のうちにぼくと女房のそれぞれの脳裏をよぎる。このアンプは長いあいだ持っているから当然愛着はあるけれど、残念ながら溺愛しているというほどではない(そもそも10年前、このアンプの音に満足できないがために、ぼくは別系統でピュアオーディオに走りはじめたのだった)。10年使ったのだから、もうこの種の機器としては天寿をまっとうしたということなのかもね――そういう話になった。つまり、買い替えである。

買い替えとなると、俄然話がややこしくなってくる。

ひとつはアンプの仕様の話。時代はすでに HDMI である。買い替えるのであれば、この HDMI に対応したくなってくるというのが人情というものだ。ところが HDMI はまだ仕様が安定しておらず、世間では HDMI1.2 という一世代前の仕様の製品もあれば、HDMI1.3a という最新仕様に対応したものもある。しかもそれが最終仕様という保証はどこにもなく、今後まだ新しい仕様が登場することは充分に考えられる。また HDMI に対応していても、将来増えるかもしれない機器をある程度視野に入れて入力数・出力数を考える必要がある。

もうひとつ、ネットワーク機能の有無もかなり迷った。IT屋としては、ネットワークにつながると聞くと、どうしてもつなげたくなってしまう。わが家ではDLNA サーバがいくつか(笑)動いているし、最近では  iTunes サーバも稼動している。インターネットラジオもときどき聴く。これらの音楽をアンプから直接再生できれば便利だと考えたのだ。さらに外部に口が開いていれば、ひょっとしたら将来のファームウェア・アップデートという、いいこともあるかもしれない。

ただ、ネットワーク機能があったとして、果たして家族がどれだけ使うのか、というのは正直なところ疑問だった。わが家の場合、リビングにPCがある。PCのデジタル出力をアンプに入力して再生する、というほうが操作として自然かもしれない。また、ネットワーク機能のついているアンプは、おしなべて価格が高い。ネットワーク機能を選ぶということは、つまり中級以上の機種を選ぶということになる。

そしてもちろん、アンプのグレードも迷う要素になる。ピュアオーディオをやっているので、「音が出る」というレベルの製品から、「いい音が出る」という製品、そして最終的には「好みの音が出る」というところまで、メーカによって、あるいはその製品のグレードによって、さまざまであることは充分にわかっている。ぼくがピュアオーディオで使用している機器はわれながら正気の世界とも思えないから比較にはならないけれど、それにしてもAVアンプでそれなりに満足のいく音質を得ようとすると、ある程度コストをかける必要もあるだろう。とくにパワーアンプ部は電源が大切になってくるので、きちんと考えられた製品は大きく重く、そのぶん高価になってくる。

アンプにコストをかけるとなると、つぎにはスピーカーが気になりだす。リビングのフロントチャンネルに使っているのは、B&W の CDM1SE だ。決して高級機というわけではないが素直で明るい音のする名作だと思う。冒頭に挙げた写真がそれで、見た目もよくて、わが家のリビングのシンボル的存在になっている。これは余談だが、つぎの世代の CDM1NT になると、見た目がへんにヤセ型になって、あまり気に入らなかったことを覚えている。いっぽう最近リリースされているの CM1 は、すっきりとした美しいデザインで、音質的にも評判がいいと聞く。

そんな CDM1SE も、アンプとおなじく10年選手になろうとしている。リビングの日当たりがいいおかげで、自慢のケプラーコーンもすっかり日に焼け、別室の 802D のものと比べると、だいぶ色あせて見える。さて、その CDM1SE はいつまで持つのだろう。アンプを替えると、スピーカーまで替えたくなるような予感がしてくる。

1週間悩んで、結局、割り切ることにした。いろいろ考えた結果、エントリー機種の王道、オンキヨーの TX-SA606X を買うことに決めた。いまAVアンプにコストをかけるのは得策ではなさそうだった。きちんと音楽を聴く環境はべつにあるのだし、マルチチャンネルは楽しさ優先でいこうと決めたのだった。

ちなみに、数年前に一世を風靡した廉価なデジタルアンプもいいかも、と思って調べてみたのだが、これはどういうわけか廉価製品では最近は下火になっているようだった。どこも数年前の機種がカタログに掲載されているだけ、という状態だった。あんなに評判がよかったのに、どうしちゃったんだろう。

これまでオンキヨーのアンプを使っていながら、そう強い思い入れがあったわけでもなかったので、よもや次のアンプもオンキヨーになろうとは思ってもいなかった。ただ世間で好評なのには理由があって、TX-SA606X とその前の TX-SA605 は、機能面では他社にくらべてあきらかに一歩リードしているようだ。これは、総合電機メーカではなくて、音響機器専業メーカであることを考えると、驚くべきことだと思う。

1993年、「平成の再建王」といわれ、大のオーディオマニアともいわれる大朏直人氏のトップ就任後、オンキヨーはとくにIT技術、デジタル技術への展開が目立っていた。なかには、一消費者として見るかぎり危なっかしく感じるビジネスもあるけれど、他社に先駆けての新仕様搭載はそうした積極姿勢のあらわれだろうし、消費者としては心強いかぎりだ。

TX-SA606X は、さきにも触れたように、機能面では「てんこ盛り」状態で、おおいに遊べるアンプだと思う。個人的に決め手となったのは、HDMI1.3a 対応の入力が4チャンネルあることと、シルバー色が用意されていること、そして価格の3点。HDMI 出力が1チャンネルしかないのが惜しいが、とくに複数チャンネルを使用する目的があるわけではないので、あまり強くはこだわらなかった。

肝心の音質は――この価格帯 (\84,000) で、これだけのデジタル・ギミックを満載して、あとなにがどれだけ期待できるだろう、というのが正直なところだ。ここで満足できない場合、おなじ世代、おなじメーカーで考えると、ひとつ上のTX-SA706X ということになり、\189,000 になる。デジタル的な付加価値ではそう大きくコストは変わらないだろうから、この価格差は電源部やアンプ部、シャーシの振動対策 (そして THX Select2 のロゴ使用料(笑)) などにある、と見るのが正しいように思う。つまり TX-SA606X から TX-SA706X へは、正しく音質アップしているだろうと期待できる。おそらくオンキヨーのアンプメーカーとしての本来の持ち味が生きてくるのは、この TX-SA706X あたりからではないかと思う。逆に TX-SA606X はそのコスト差分だけ、TX-SA706X に比べて音質には限界が出るということだ。その差がほぼ10万円分。

これが数万円の価格差だったらきっと悩んでいたと思う。でも10万円の差がついたとなれば、上に書いたとおり、いまは TX-SA606X で、楽しく行けるところまで行く、というのが正しい。と判断した。

ちなみに、他社製品の印象はつぎのようなものだった――デノン(旧デンオン)は一時期は「これに決めた」というところまで行ったのだが、HDMI の入力数が少ないところがどうしても気になった。ボリュームノブのクリック感や、低価格機でもロータリー式のスイッチを多用しているところは好感度大だった。パイオニアの高級機は魅力的だったけれど、低価格機では機能面で見劣りがした。ソニーもよかったのだが、いまのソニー製品を買うと BRAVIA や VAIO を買わなければならないような気がして、気持ちが引いた。パナソニックのシリーズは、デザインがどうしても許せなかった。そんなこんなで、ふたたびオンキヨーの採用――ということになった。

先日の土曜日、近所の量販店に出向いて、この TX-SA606X を5万円台なかばという金額で買った。シルバーは在庫がなく、数日後に届くという。価格面で通販に引けをとらない金額にしてくれたことはありがたかったし、その価格で5年保証がついているのも魅力だった。

先代のAVアンプも、何度か故障を起こしている。突然リアスピーカーから音が出なくなったり、リモコンが効かなくなったり、今回のようにスピーカーの音量が安定しなかったりした。最後の故障をのぞいて、その都度修理をしてもらってきた。前面パネルに髪の毛のような黒い線が印刷されていて初期不良交換ということもあったし、その次に届いたものは、背面のパネルのネジが外れかかっていた(自分で締めた)。だから正直、オンキヨーの製品の品質はそれほどいいとは思っていない。その意味でも、5年保証はありがたい。

この文章を書いている現在、まだアンプは到着していない。到着したら、またしばらくはセットアップやら何やらで当分なにも書けないだろうと思うので、まずはアンプを決めた、というところまでのご報告だ。

ちなみに、わが家のAVアンプでもっともよく使われるのは、FM放送などの軽めの2チャンネルソースを全スピーカーを使って鳴らす、マルチチャンネルステレオという機能だ。これを使うことで、部屋中に音楽が溢れるようになる。

あたらしいアンプがきて、また以前のように、音楽のあるリビングになればいいと思っている。そしてまた、ときどきは映画でも観ることができればいいなと思う。

 

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