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2008年2月 3日 (日)

B&W 802D のウーファ

802D-Wooferひさしぶりのオーディオの話。

B&Wの802Dは、その型番の末尾に "D" がついていることからもわかるように、ダイヤモンド・ツイータを搭載していて、それがもっとも大きな特徴だと言われている。たしかに、このスピーカーを導入するときには、以前書いたようにこのダイヤモンド・ツィータによる透明な、抜けるような高域の音というのは大きな魅力のひとつだった。

でもひそかに、本当に楽しみにしていたのは、低域を担当するウーファだった。新素材ロハセル (Rohacell®) のウーファだ。


いやべつに、この素材に詳しいとか、そういうわけではない。カタログやら紹介記事やら、そういったメディアから仕入れた知識だけだ。

ロハセルはドイツのローム (Röhm GmbH&KG) が開発した新素材で、硬質プラスチックの発泡体だ。断面はスポンジのように見える。ただ気泡が小さくて硬いのだ。このロハセルは新幹線や人工衛星にも使用されている。写真をお見せできればいいのだが、実物を裁断するわけにもいかないし、引用できそうなものもない。B&W サイトの技術紹介のページにも、残念ながらロハセルそのものの写真は掲載されていない。

B&W 800シリーズのウーファで使用されているのは、8mm 厚のロハセル。けっこう分厚い。その表面には (裏面にも) 炭素繊維が貼りつけられている。

これのなにが楽しみであったかといえば「軽くて、硬そう」ということだった。硬そうというのは、たわみが少なそう、という意味だ。このウーファは、802Dでは27Hzから350Hzの低音を担当する。ということは1秒間に27回から350回も前後に振動するということだ。通常の素材では、中心部から外周部にかけてたわみが発生し、それがひずみにつながる。たわみが少なければ、ひずみも少なくなる。かといって重たければ、アンプからの信号に的確に反応できず、充分な振幅も得られなくなる。

そんなウーファの素材として、硬質発泡素材であるロハセルは、俊敏に反応して濁りや曖昧さのないクリアな低音を聴かせてくれるのではないか――そんなふうに期待したのだ。

まあ、すべては素人の印象の世界での話だ。工学的に考えてそれが正しいのかどうかは、ぼくにはすぐには結論を出せそうにない。ぼくなりに、いろいろとスピーカーの鳴り方を勉強してのことではあったけれど。

使用しているパワー・アンプは、GOLDMUND の MIMESIS 18.4ME。低域が豊かというほうではないが、芯のある低音を鳴らす。それはこのアンプの持つ駆動力、制動力によるところが大きいと思っている。ときに低域の量感がもの足りなく思うことがあるのは事実だけれど、そのぶん引き締まって「ズン」とくる力感が心地よく、気に入って使いつづけている。

その MIMESIS 18.4MEによって鳴らされる 802Dの低域が、あるときから、さらに力強く、明確に鳴るようになった。オーケストラの曲などを聴いていると、室内にある机などがかすかに振動するのがわかる (なにか対策しないと....)。それはズンとかドンというよりも「ダン!」と腹に響く音だ。ぼくの家はマンションだから、そう極端に大きな音をだしているわけではない。

この低域の力感がすばらしい。

以前使用していたスピーカー、ALR/Jordan の Note 7は 15cmウーファを2本搭載していた。ALR/Jordan 得意のアルミコーンを使用し、軽量さと硬性の確保の両立を果たしていた。さらに背面にはパッシヴ・ラジエータを搭載していたこともあって、比較的豊かな低域を聴かせてくれたものの、正直なところ振動を肌で感じさせるほど力強くはなかった。

対して、B&W 802Dのウーファは 20cm径。Note 7の 15cmにくらべると 5cm大きくなったにすぎない。見ためにはだいぶ大きくなったように感じるし、面積比で言えばそれなりに変わったと言えるのかも知れない。それでも、ここまで低域を力強く感じさせ、なおかつ明晰に響くというのは、このロハセルのウーファのおかげなのだろうと思う。

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