PCがこわれた
ひと月ほどまえ、主に女房が使用しているリビングPCの調子が悪くなり、これは見た目に電源ユニットだろうとあたりをつけて、使わないでしまってあったべつの電源ユニットに載せかえたところ、問題なく動くようになった。
今回のぼくの部屋のPCの不調のほうはといえば、これがさっぱり原因がわからなかった。すこし特殊なPCのせいか、これまでにもハングしたりということはあった。今回は大容量のファイルをコピーしている真っ最中に、突然リセットがかかった。そのまま涼しい顔でなにごともなく再起動したので、こちらもあまり気にせず使いつづけていたら、またおなじことが起こった。これが3回ほどくり返された。
そうこうするうちに、ついに再起動しても起動し切れず、途中でリセットしてしまうようになった。夕方だったこともあり、なにか行動を起こすなら早く、と気があせり、コピーしている真っ最中にプツンとリセットしたことから、ハードディスクだとあたりをつけた。であれば、ちょうどいい機会だからハードディスクを交換して、ついでにWindows Vista を導入しようと決めた。(それまではWindows XP SP2だった)
車を飛ばして近場のパソコン工房に飛び込み、そこで売っていた日立(旧IBM)の 500 GB のハードディスクと、DSP版のWindows Vista (Home Premium) を買った。予定外の出費にサイフと心を痛めながらも、環境があたらしくなることに少々の期待感も抱きつつ、いそいで家にもどったときにはもう暗くなっていた。
夕食を終えて自室にこもり、ハードディスクを取りつけた。そういえば日立(旧IBM)のハードディスクはずいぶんひさしぶりだ。このところずっと Seagate の Barracuda を使いつづけている。Barracuda ATA IVのころから約5台ほど、いつも Seagate だ。これは Barracuda ATA IV が発熱と騒音の両方でとても優秀であったのと、そのときの IBM Deskstar が、低周波的なウォンウォンという騒音を出すことに嫌気がさしたということが重なったものだ。 いまはむしろ、日立(旧IBM)のほうが評判はいいようだ。パソコン工房ではこの日立しか売っていなかったので、選択の余地はなかった。
§
ところがである。このハードディスクをとりつけて、Windows Vista のDVDを入れて起動しても、もはやBIOS画面すら出なくなってしまったのだ。
かなりあせった。なにか決定的な勘ちがいをしているにちがいない。ハードディスクをはずしてみても症状は変わらない。何回も電源再投入やリセットをくり返していると、ときどきBIOS画面にお目にかかることはできる。でもDVDから起動し、インストールをはじめようとするところでダウンしてしまう。その後はまたBIOS画面すら見えなくなる (ファンやディスクなど回転系はまわるし、LEDも点く) 。
接続を何度も確認し、つぎの結論に至った。さてはこのPCも電源か。電源のストックは何台もあるわけではないが、まだ2、3台はある。ああ最初にこれを試しておけばよかったと思いつつ、筐体の上に電源を載せて接続してみると―― やはり動かない。そうかやっぱりちょっと電源の問題とはちがう気がしたんだ、と妙な安堵感を覚えつつ、ややこしいデバイスはすべてはずし、マザーボード、CPU、クーラー、メモリ、電源、キーボードだけの構成で起動してみるも、やはりLEDは点けどもBIOS画面は出ない。思いあまってディスプレイも交換したがダメ。メモリもデュアル構成だったものを1枚1枚つけてみてもダメ。CPUクーラーをはずし、CPUを装着しなおし、グリスをつけなおしてもダメ。
ここにきてようやく、はじめてのトラブルに遭遇したと認識した。これはどうも、マザーボードかCPUがイカレたようだ。
§
すでに充分に長い話になっているが、まだ長くなる。冒頭で、このPCはすこしへんなことをしていると書いた。それは何点かある。
ひとつは、いわゆる "MoDT" というタイプのものだということ。これはIntelが提案する "モバイル・オン・デスクトップ" というスタイルで、ノートPC向けのCPUを、デスクトップPCに使おうというものだ。そうすることで、消費電力、発熱量、物理的な大きさなどでアドバンテージが得られる。ぼくは Core Duo を使用してこのPCを組んでいる。
Core Duoに対応するマザーボードはそう多くはない。ぼくはAOpenのi975Xa-YDGという(高価な)マザーボードを使っている。ほかに、他社からもチップセットに945を使用した小さいマザーボードも出ているが、それらは "地雷" と言われるほど安定性に欠けているとのもっぱらの評判だった。
ぼくが自分のPCに求めている要件は、むかしソフトウェア開発に邁進していた日々にくらべると、ずいぶんと変わってきた。ソフトウェア開発そのものはいまでも日曜大工的につづけているけれど、だいたいどんなPCでも性能的な不満は感じなくなった。以前は SCSI 以外考えられなかったハードディスクも、いまでは言うまでもなくUltra ATAやSerial ATAで充分だし、メモリも1G、2Gは簡単に乗せられる。ソースコードのコンパイルという観点では、CPUもいま新品で売っているものであれば、充分早い。
スピードのかわりに求めるようになったのは、環境条件だ。静音であること。それゆえに低消費電力、低発熱であること。スタンバイとその復帰に問題がないこと。などなど。これらはぼくが普段使用している条件で、いずれも必須のものだ。
これに関連して、もうひとつぼくのPCでへんなこと。それは、電源やCPUクーラーがファンレスであるということだ。"目指すは完全ファンレス" でPCを組んできたが、さすがにチップセットやビデオカードの発熱まで考えると、完全ファンレスというのはどうも心配になる。それで、ケースに800rpmの12cmファンをひとつ用意し、それですべての冷却をまかなっている。ハードディスク類はスマートドライブという防音用のアルミケースに収まっている。
これでいちおう安定稼動はしているものの、心のどこかに冷却に対する不安は残る。そんな不安に思うくらいなら、せめて電源くらいファンつきのものにすればいいのに。と思われるかもしれないが、わが家は深夜はかなり静かになる (横浜時代は近くの幹線道路の騒音が絶えず聞こえていたけど....)。そこではPCの発する音がどうしても耳についてしまう。 ハングアップが発生したときには、センサー類の示す数値だけでなく、触診でケースのなかの各部位の温度をさわって確かめてみることも大切だ(笑)。
最後のへんなこと。それはぼくのPCにはPCIバスが必須で、そこにRME 96/8 PSTというオーディオカードを装着しているということだ。このカードはもうだいぶ古くなり、いまでは新品では販売されていない。オークションでときどき中古が出るくらいだ。その前はUSB系の機器や M-Audio の Delta 66 というオーディオカードを使用していた。そんななかで、PC高負荷時の安定性では RME のカードが一枚も二枚も上手であり、いまでも気に入って使用しつづけている。現在RMEから出ている代替品は、いずれも10万円以上はする。買おうと思えば買えないことはないが、やはりそれなりの思い切りは必要になる。
§
マザーボードかCPUか、どちらかがイカレたという結論に達したものの、インターネットで調べてみると、もはや Core Duo 相当の環境をあらたに作り直すのは非現実的なようだった。CPUの後継でいうと Core 2 Duo のTシリーズということになる。マザーボードはもちろんメインストリームでは見当たらない。Core Duo PC を安定動作させるまでにはそれなりの道のりがあったし、もとをたどればAMDのGeodeでの苦闘の日々にまでさかのぼる。いずれの環境でも選択肢と情報の少なさにはほとほと辟易していた。RME 96/8 PSTを安定して動かすことは必須だ。組み上げるのは楽しい作業ではあっても、あまりコストをかけられる状況でなく、自分のメインのPCを組み上げるのだから、無用なトラブルは避けたかった。
やむなく、これを機に、一気にメインストリーム(?)に復帰することにした。いささか冷却に不安はあったものの、それからいろいろと調べモノをして、結局Core 2 Duo のEシリーズと、P35チップセットのLGA775マザーボードに狙いを定めた。
- 新規購入:
- Intel Core 2 Duo E6750
- LGA775 マザーボード (ASUSかGIGABYTE)
- 前日購入:
- OS (Windows Vista....)
- HDD
- 流用:
- データ用のHDD (Seagate Barracuda 7200.9)
- DDR2 SDRAMメモリ(2GB)
- DVDドライブ
- CPUクーラー(Cooler Master の NINJA Plus....ファンレスにしていたけど、ファンをつけてみよう....)
- ケース、電源、ファン、ディスプレイ、キーボード、マウス
OSとHDDを変えて、さらにCPUとマザーボードが変わるのだったら、ほとんど換装みたいになっちゃったな、とサイフを見ながら思った。CPUクーラーは奇跡的にLGA775 にも対応できるものだったので流用できそうだ (せめてこれくらいは流用できてうれしい)。メモリも今回はこのままでいくことにしよう。
そう決めたときには、すでに日付も変わって深夜になっていた。その日はそのままウィスキーを飲んで寝た。明日は女房が病院に行かなければならないこともあって、朝が早い。でも、その "明日" も、そう簡単にはいかなかった。
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