B&W 802D と 部屋の対策 (その2)
以前ご報告した通り、B&W の 802D が到着してから、気持ちはすぐに部屋のほうに向いていった。これはスピーカーを変えることで、ようやく関心が機器からその周辺へと向ける余裕ができるようになってきたということと、最初から心配していた通り、部屋の大きさを考えればすこし大きめのスピーカーを入れているので、音が飽和しきってしまうのではないかと懸念したからだった。
ウーファーの大きさから言っても、ALR/Jordan Note 7のアルミ15cmの2発から、B&W 802D はロハセル20cmの2発にかわり、音量というよりは音圧が強くなった。大きめの音量のときには室内の机などが振動しているのがわかる。部屋をデッドにしすぎてはいけないと言われつつ、こうした余計な振動は雑味の原因となりそうなので、これはこれで対策を考えていこうと思っている。
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そんななかで今回手を入れたのは、スピーカーの反対側の壁面にあるクローゼットの扉。高さ2.3mの細長い板2枚。いかにもたわんで振動しそうだし、実際に手でそっと触れてみると振動しているのがわかる。このクローゼットの扉の表面に、簡単な吸音材を置くことにした。
素材は、住友スリーエムの誇る吸音断熱素材シンサレート。吸音素材としては自動車や建築素材として利用されており、今回は関係ないけれど断熱素材としてはスキーウェアなどのスポーツウェアに採用されている。
このシンサレートをオークションで入手して、1500mm×350mm の吸音材を2枚、製作した(正確には、女房に作ってもらった)。長さが1.5mもあるので、特別な機械もなく、ちびっ子が暴れまわるわが家では、裁断と縫製が大変だった。ぼくが家にいる休日の深夜、子供たちが眠ってからの作業にならざるを得ないし、シンサレートにしても生地にしても、広い範囲をまっすぐに切ろうとすれば、それなりに場所もいる。熱帯夜のなか、たいして広くもない家のなかを移動しながらの作業だった。裁断のあとは、女房が黙々と(ブツブツと)布端部をマツリ縫いをして、袋状に加工をした。
シンサレートは13mm厚。いろいろ考えて2枚重ねにした。これ以上厚くするとデッドになりすぎるような気がした。理屈の上では26mm厚になるはずだが、多少は圧迫されて薄くなるので20mm程度。面積が大きいことも関係してほとんどシート状という感じだ。これを近所の手芸店で買ってきた綿100%の生地でカバーしている。背面はホック止めにして、吸音材の入れ替えや調整ができるようにしてある。
設置はとても簡単だ。ホームセンターで買ってきたコの字型の金具を吸音材の上部にフック代わりにつけて、クローゼットの上から吊るすだけ。大きいこともあって軽量素材ながらそれなりに自重もあって、すっと下まで自然に垂れ下がっている。クローゼットの扉の開閉もなんら問題なし。
それで肝心の効果のほうはといえば、これはプラシーボの可能性もあることをお断りしたうえで言うのだが、期待以上だった。音の雑味が減って静けさが増し、スピーカーからの音がより明瞭に聴こえるようになった。前面を覆うこの吸音材のおかけで、扉がびりびりと振動することもなくなった。結果としては充分満足している。クローゼットの扉に吊るしているだけなので、いつでも簡単にはずして比較実験もできる。でもまあ、充分改善には満足したし、部屋もぼくの耳もなじんでからはずしてみても遅くはない。それで効果がなかったということになったら女房に殺されるような気がするから、べつに無理に比較実験などする必要もないのだが。
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つぎは、上で書いたように机など家具の振動対策か、あるいは―― これはそれなりに勇気をもってやらないといけないのだが―― 天井の対策である。家具の振動対策は、たぶん見えないところに制振素材を貼っていくことになると思う。天井はいまのところ具体的な案はない。QRDのスカイラインがよさそうな気がしているものの、見た目の問題と価格面でちょっと躊躇するものがある。できれば今回のように自作できれば楽しくていいのだが、また楽しいのはぼくだけ、ということになりそうな気はする。
公式サイト: 住友スリーエム Thinsulate
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