アンドラーシュ・シフ 2つのセット
これは新譜というわけではないけれど、先日からアンドラーシュ・シフについて書いたり考えたりする機会が増えたので、もうすこし聴いてみたくなり、ふたつのセットを購入した。
ひとつはシューベルトのピアノ・ソナタ全集。写真の左側のボックスセットで7枚組。シューベルトという観点では内田光子のセットと迷ったけれど、そもそもシフのシューベルトを持っておきたいのだから、とこれにした。どこかに書いたように、以前は学生時代にNHK-FMで放送されたライブを録音したものをよく聴いていた。メディアはテープ。いつしかテープデッキがなくなり、それとともに聴けなくなっていた。
ひさしぶりに再会した内容は、期待にたがわぬできばえ。すこし残響が多く、その結果なんだか「ロマンティック・コンサート」みたいな響きに聞こえるきらいもあるけれど、シフのピアノは充分に堪能できる。やや重たく濁りぎみに聴こえがちのシューベルトのピアノ曲が、軽快・明晰でありながらもしみじみと歌うように聴こえてくる。聴いた瞬間に「ああシューベルトはやっぱりこう聴きたいな」とため息が出た。
もうひとつはモーツァルトのピアノ協奏曲全集。右側のセット。9枚組。シフのモーツァルトは10年くらいまえにピアノ・ソナタ全集を買って、これも一時期よく愛聴していた。いまでも月に何回かは休日の朝にかけたりする。ピアノ・ソナタはギーゼキング的な質素簡潔の世界で、この弾き方のモーツァルトには、おのずとシフのピアノはよく似合う。ピアノ協奏曲集のほうも同一路線かと思っていたら、指揮のシャンドール・ヴェーグとザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカの伴奏が躍動的ですばらしく、それにあわせたのかどうか、シフのピアノもいつもよりもさらに溌剌として聴こえる。シフのピアノにはもともと愉悦感があると言われているが、ヴェーグの伴奏とあわせてそれがよく出ており、とても楽しく、気持ちがいい。
Schubert / The Piano Sonatas
András Schiff, Piano
DECCA 448 390-2
残念ながらすでに入手できないようです. だからというわけではないですが、次点として本文中でも触れた内田光子盤をご紹介。
Mozart / Piano Concertos
András Schiff, Piano
Sándor Végh, Conductor
Salzburg Mozarteum Camerata Academica
DECCA 448 140-2
Link : HMVジャパン
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