ショルティ/VPOのベートーヴェン
ユニバーサルから、DECCAレーベルでショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(VPO)のベートーヴェンが出ている。ジャケットが当時のものかどうかはわからないが、清廉で質素なデザインのジャケットとDECCAのロゴをながめていると、ユニバーサル傘下であることなど忘れて、「むかし」に戻ったかのようだ。
ぼくはこの演奏をリアルタイムで知るような歳ではないけれど、ずっと聴きたいと思っていた。シカゴ交響楽団(CSO)との演奏なら、たしか何枚かCDは持っているし、ベートーヴェンではなかったが晩年のコンサートにも行った。でも、ウィーンフィルとの演奏は、これが現役盤だったころは(優先度の問題で)なかなか買えなかったし、気軽に買えるような歳になるころには、もう手に入らなかった。
それがどういうanniversaryなのかは不勉強で知らないが、ショルティの初期の演奏が廉価で大量に発売され、そのなかにこのVPOとのベートーヴェンも含まれていた。
音はよかった。いくぶん「いぶし銀」の響きがあるかな。技術的なことはよくわからないが、無理してノイズレベルを下げた代償のようなぎらつき感はある。でも、1950年代の録音であることを考えたら、かなりいい状態ではないかと思う。
肝心の演奏のほうはと言えば、やっぱりこの人はその見た目どおり、頭が良くてせっかちなのだろうと思う。それがアップテンポの部分では躍動感につながり、緩徐楽章では軽快感が残る。「躍動感」も「軽快感」も、どちらも誤解を生む表現だ。でも、音楽のことについてはあまり書いたことがないから、どういう言葉を使ったらいいのかわからない。ただ、どちらにしても、それがCSOではなくVPOで奏でられることで円やかさが加味されて、このコンビでないと聴けないような「やわらかな剛健さ」のあるベートーヴェンになっている。
Sir Georg Solti, Conductor
Vienna Philharmonic Orchestra
DECCA UCCD-3765 (日本盤)
Link : HMVジャパン
Sir Georg Solti, Conductor
Vienna Philharmonic Orchestra
DECCA UCCD-3766 (日本盤)
Link : HMVジャパン
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